健康トピックス  

安静時の息苦しさは?-ぜんそくとCOPDの合併-



ぜんそく死が減ってきた一方で

 最近では、ぜんそくのコントロールが良くなり、ぜんそく死が少なくなりつつあります。
しかし、一方で高齢のぜんそく患者さんが増えて、中高年以上に多くみられるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)との合併が問題になってきています。
 COPDは、喫煙や大気汚染などにより有害物質を吸うことで気道炎症や肺気腫病変が形成され、それらが複合的に作用し、肺からの空気がでにくくなる病気です。
高齢者に多く、70歳代では5人に1人がCOPDと言われています。

ぜんそく、COPD、
あるいはその合併?

 厚生労働省の調査によると、COPDの患者さんの約4分の1はぜんそくを合併しています。
2つの病気は、気道が狭まって呼吸困難になり、咳や痰が出るなどの症状が共通しているため、ぜんそくかCOPDか、あるいは両方を合併しているのかについては、(1)年齢、(2)喫煙歴、(3)安静時の息苦しさの「ある・なし」などが参考になります。
そのほかにいろいろな検査や身体の状態などから、2つの病気は区別され診断されます。

ぜんそくとCOPDを区別する目安
ぜんそくの可能性が高い COPDの可能性が高い
若い 患者さんの年齢 中年以上
吸わない、
喫煙歴が短い
喫煙歴 喫煙歴が長い
安静時でも息苦しい
(発作がある)
安静時の息苦しさ 安静にしていれば
息苦しくない
重症になると安静時でも息苦しい
両方の特徴を併せ持つ場合は、ぜんそくとCOPDの合併の可能性があります。

ぜんそくとCOPDの合併かもしれないと思ったら・・・

 治療は主に薬物療法です。
ぜんそくとCOPDに共通して使われるのは気管支拡張薬ですが、もちろんそれぞれ別の薬も使われます。
また、ぜんそくとCOPDが合併している場合は、ぜんそく治療を優先して吸入ステロイド薬などを使います。
 ぜんそくとCOPDが合併していると、単独の場合よりも治療が難しい場合があります。
中高年以上で、喫煙歴があり、息苦しさや咳、痰などの症状がつらい方は、一度かかりつけ医を受診することをおすすめします。



指導:東京女子医科大学第一内科 教授 永井 厚志
企画:日本医師会
協賛:グラクソ・スミスクライン株式会社