健康トピックス  

骨盤底筋体操が効果的-女性の尿失禁-



起こりやすい女性の尿失禁

 尿失禁(尿もれ)とは、自分の思いに反して尿がもれてしまう状態です。
女性は男性に比べて尿道が短いことに加え、出産のために尿道を締める筋肉が弱くなることなどから、尿がもれやすいのです。
 女性の尿失禁は、ほとんどが、くしゃみや咳など、おなかに力が入ったときにもれる「腹圧性尿失禁」か、急におしっこがしたくなり、トイレまで間に合わない「切迫性尿失禁」、またはその2つが混ざった状態の「混合性尿失禁」です。

まず骨盤底筋体操や膀胱訓練を

 腹圧性尿失禁も切迫性尿失禁も、下着を替えるほどではないという程度なら、「骨盤底筋体操」や「膀胱(ぼうこう)訓練」※で軽くなることがあります。
ただし、それまでは根気よく続ける必要があります。
もれない人でも、将来の尿失禁の予防ともなりますので、ぜひ試してみてください。

※膀胱訓練:トイレに行きたくなってもすぐに行かないで、10分から30分くらいがまんして、膀胱に尿がためられるようにする訓練。がまんするときは、骨盤底筋体操の動作が役に立つ。
骨盤底筋体操
骨盤底筋体操とは、膣や肛門を締める・緩めるという動作を、おのおの5秒間くらい交互に続ける体操です。全体で5分から10分間くらい続けます。仰向けがやりやすいのですが、立ったまま、椅子に座って、机に両手をついてなど、やりやすい姿勢をさがして試してみましょう。おなかに力が入らないようにするのがコツです。
よく効く治療法もあります

 最近では、腹圧性尿失禁は手術でほぼ完全に治すことができます。
切迫性尿失禁にはいろいろな薬が開発されてきました。
もれる量が多くても、適切な治療法があります。
あわせて、膀胱や子宮が下がってくるような状態も、手術で治すことができます。
 尿失禁は、「わずらわしいけれど仕方がない」と、あきらめる病気ではありません。
骨盤底筋体操や膀胱訓練をしても症状が軽くならないときは、かかりつけの医師に相談しましょう。



指導: 東京大学大学院医学系研究科泌尿器外科 教授 本間 之夫
企画: 日本医師会
協賛: 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社