健康トピックス  

増えています。ご用心!-抗生物質が効かない細菌-



抗生物質とは

 抗生物質はカビや細菌からつくられ、病原菌などを抑える薬です。
青カビからペニシリンが発見されて以来、さまざまな抗生物質が登場して、細菌感染症はあたかも制圧されたかのように思われた時期がありました。
 ところが抗生物質が大量に使用された結果、これらの薬に抵抗力を持つ細菌が生き残り、抗生物質が効かない、いわゆる「耐性菌」となり、治療上問題となっています。



細菌と人間の戦い

 そうなると、より強力な抗生物質を新しく開発しなくてはなりません。
しかし、苦労して新薬を誕生させてもしばらくの間は良いのですが、そのうちすぐに耐性を持った菌が現れ、さらに新薬を開発しなければならないという悪循環を繰り返しています。
このように人と細菌との間では、常に生き延びるための戦いが繰り広げられているわけですが、薬の開発はそんなに簡単なものではありません。

抗生物質を正しく使いましょう

 抗生物質は医師が処方する薬です。
しかし、患者さん自身もその使用法について正しく理解しておくことが大切です。
たとえば、自分の判断で抗生物質を使って欲しいと医師に訴えたり、以前に処方された抗生物質がたまたま手元に残っていたからといって、それを風邪などの時に勝手に飲んだりしてはいけません。
とくに子どもやお年寄りでは副作用などの問題が起こりがちです。
 抗生物質は、感染症の治療には依然として欠かすことができない大切な薬です。
耐性菌をこれ以上増やさず、抗生物質が持っている本来の力を充分に発揮させるためにも、医師の指示をきちんと守り、乱用を避けるようにしましょう。



指導:東邦大学医学部微生物・感染症学講座 教授 山口 惠三
企画:日本医師会
協賛:第一製薬