二見いすず: 今月のテーマは婦人病・更年期です。
お話いただきますのは、鹿児島県医師会の波多江正紀(はたえ まさゆき)ドクターです。
波多江さん、よろしくお願い致します。

波多江正紀Dr: よろしくお願い致します。

二見いすず: 先週は、日本で子宮体がんが急増しているというお話でしたが、今日は更年期障害についてお話いただきたいと思いますが、更年期障害の治療に関してはやはりアメリカなどは随分進んでいるようですね。

波多江正紀Dr: アメリカではホルモン補充療法というのがかなり積極的に使われてきた歴史がありますが、更年期前後の女性から60歳を超えるぐらいまでの女性は30%位は受けているだろうといわれています。
日本はそのやはり5分の1位の人しか使われていないんではないかと思います。
それはやはりホルモン補充療法の副作用に対する受け入れがもともと日本は非常に低いところにありましたので、歴史もあります。

二見いすず: その副作用ということの方が先に耳に入ってきてホルモン補充療法についての詳しいところがまだ分かっていない、私自身もそうなんですが、その副作用との関係はどうなんでしょうか。

波多江正紀Dr: 非常に大きな、1万6,000人を対象にした研究の結果が、中間報告でしたけども発表されまして、ホルモン補充療法、エストロゲンとプロゲスロンと2つの薬を使ったスタディーですけど、5年以上内服した人を見ましたら乳がんが1.26倍になった心筋梗塞・脳梗塞も増えたということがあります。
しかしながら、子宮体がんは増えませんでした。
いいことしては大腿骨董骨折というのが6割ぐらいまで下がりましたし、不思議なことに大腸がんも減ったということが言われています。

二見いすず: そのホルモン補充療法をお受けになるときには、必ず年一回のがん検診で監視しましょうという約束事が出来ているんだそうですね。

波多江正紀Dr: この治療を受ける場合には、乳がん検診・子宮体がん検診を一年に一回は受けるということで、体がんは増えなかったわけですけども、乳がんは増えますけども、そういう検診のためにかえって早く見つかって予後がよかったということも分かっております。

二見いすず: この治療法を例えば短い期間お使いになる、あるいは長い期間をお使いになる、それはその方々によって違うわけですね。

波多江正紀Dr: 更年期障害は症状が出始めて短期に、1年2年に起こっていくホットフラッシュ、顔が火照ったり・頭が痛かったり・夜が寝れなかったり・手足が冷えるという症状に対する治療ともっとロングランに骨粗鬆症とか動脈硬化が起こらないようにとかいう目的で作られたんですけども、前者に短期間で使うのは十分メリットがありますけど、長期に使えば少しリスクがあると。
そこをよく自分で判断して、どちらをとるかということになると思います。

二見いすず: 自分の生活の形あるいは自分がこれからどんなことをしたいかそういうことを考え合わせてやはり十分お話を聞いて納得して選べる時代ということになるんですね。

波多江正紀Dr: 日本の女性は80歳まで生きれますので、骨粗鬆症とかいうことを避けたいという場合には、ホルモン補充療法ばかりではなくて他のお薬もありますので、そういういったことに切り替えることも含めてチョイスがあるということを知っておくべきだと思います。

二見いすず: 来週は、更年期を迎えられた女性の乗り越え方等についてお話を頂きたいと思います。
ありがとうございました。
お話は鹿児島県医師会の波多江正紀ドクターでした。
ありがとうございました。
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