2004.5.8
第54回放送分『五月病』 ゲスト:竹元隆洋ドクター


二見いすず: 今月は「五月病」、そして「心の問題」について伺っています。
先週に引き続きお話は鹿児島県医師会の竹元隆洋(たけもと たかひろ)ドクターです。
竹元さん今週もよろしくお願い致します。

竹元隆洋Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週、五月病は決して軽んじていい病気ではないということを伺いましたが、今日はどのようなお話をいただけますでしょうか。

竹元隆洋Dr: そうですね。
五月には大学生に五月病というものがあることをお話しましたけども、これに似た状況は子ども、特に幼児あるいは小学生たちにも起こってくるという話をしてみたいと思います。
新しい入園・入学の時期に不登校・不登園というような子どもたちが出てくるんですね。
原因を考えていきますと、今までお母さんと一緒に家庭のなかで自分が王様のごとく過していた、とても安全で安定した環境の中から、いよいよ登園・登校しなければいけないという時期がくるわけです。
そういう時期にどうしても親の元を離れない子どもとか、手放すのがとっても心配というお母さんも出てくるんですね。
それを母子分離不安という言葉で表現します。

二見いすず: 母子分離不安。

竹元隆洋Dr: はい。
その母子分離不安が子どもの方だけにある場合は、まあいいとして、親の方にもあるんですね。
親の方が子どもを手放すのがとっても不安で、みんなと同じように出来るだろうかとか、非常に心配して昔からよく言う「親離れ、子離れ」というようなことが、うまく出来ないお母さんがおられるんです。
そういう状態になると子どもはもっと不安です。
お母さんが分離不安がありますとね。
親子がなかなか分離できなくて、学校が嫌になる・学校に不安が強くなり過ぎるという問題があります。
もう一方には、子どもが新しい環境に適用するだけの力を持っているかどうか。
社会性がどの程度身についているかという問題ですね。
そういう問題については、お母さん方には、子どもに「ありがとう」とか「ごめんなさい」という程度の言葉はちゃんと言えるように躾ておいた方がいいかなと思います。

二見いすず: お母さんにしましても、元気よく登園・登校してくれれば嬉しいと思いつつ、どこかで離したくないといいますか、子離れできていないというところがあるんでしょうか。

竹元隆洋Dr: そういう子離れできていないお母さんの場合には、子どもの方がもっともっと不安がりますので、子どもに与える影響はものすごく大きいということですね。
やはり、「かわいい子には旅をさせろ」というような、ある程度突き放す気持ちも必要だと思います。


二見いすず: かわいいから、手元に置いておきたいという気持ちもある中で、やはり突き放すということも大切ということなんですね。

竹元隆洋Dr: 突き放すためには、ある程度社会性を持っていないといけない。
突き放された先で、何とか適用していくだけの力を育てておかなければいけないということになりますね。


二見いすず: お母さんと子どもさんとの関係って本当に難しいですね。

竹元隆洋Dr: 難しいですね。

二見いすず: 来週もまたよろしくお願い致します。

竹元隆洋Dr: どうも。

二見いすず: お話は鹿児島県医師会の竹元隆洋ドクターでした。