2004.5.22
第56回放送分『五月病』 ゲスト:竹元隆洋ドクター


二見いすず: 今月は「五月病」、そして「心の問題」について伺っています。
お話は鹿児島県医師会の竹元隆洋(たけもと たかひろ)ドクターです。
竹元さん今週もよろしくお願い致します。

竹元隆洋Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は思春期という大変デリケートな年代の心の問題と親御さんとの関係についてお話をいただきましたが、今週は「大人」、社会人の場合についてなんですが、いかがなんでしょうか。

竹元隆洋Dr: そうですね。
思春期もそうですけど、4月・5月になりますと一般社会人にとっても大変大きな変化が起こるんですね。
新就職・転勤・配置転換・定年という問題もあって、人生が大きな変化を迎える時期です。
この時期にうまく新しい環境に適用できればいいんですけど、今現在でも悩んでいる人、苦しんでいる人が現実にはたくさんいると思うんですね。
その挙句に、完全にドロップアウトしてしまって出社拒否という状態になる人もこの時期にはとても多いんですね。
その出社拒否の中で、職場恐怖症という呼び方をしている一群がありますけれども、仕事の適性がないとか能力が追いつかないとか、対人関係にうまく溶け合えないということで苦しんだり、不安がったりする人もいますし、もう一つに燃え尽き症候群というのがあります。
一生懸命頑張って、頑張って仕事中毒というような人たちも出てきます。
頑張った結果うまくいかない、成果が上がらない。
それで無気力になったり、うつ状態になったりするという人たちもいます。
それから最後には、五月病と同じような無気力症候群というのがあって、これは小さいときからの親子の関係を引きずっている。
そういう人たちですね。

二見いすず: 同じ出社拒否でも、様々な内容があるんですね。

竹元隆洋Dr: 例えば、定年の人たちの場合、今まで毎日毎日頑張っていたんですけど、定年になったその日から、毎日が日曜日という感じになりますと何をしていいかわからないという問題があります。
よく言われることですが、女性は毎日の使い方が上手とよく言われますね。
男は企業戦士で、ただただ仕事だけで生きてきますから、毎日が日曜日になるとどう生きていいか生き方がわからないというような、生きがいの喪失といった問題も出てきて、人によってはアルコール依存症になったり色んな問題が発生してきます。

二見いすず: 今この時期、たくさん悩んでいらっしゃる方があるでしょうというお話があったんですが、自分にしてみれば、こういうことは自分だけじゃないかと思いがちなんですが、数としてはこういう出社拒否、この時期は多いんですか。

竹元隆洋Dr: そうですね。
大企業の調査ですけれども、5,000人規模の会社なんですが、だいたい14%位、出勤拒否というよりも出勤不良者という数ですね。
出勤不良者というのが14%位で、その中で勤務して1年未満程度の人が42%位いるというのですが、圧倒的に新しく入った人たちに多いということが言えますね。
しかし、今までベテランであった部門から転勤によって新しい職場に入ってドロップアウトする人も数多くいるということです。

二見いすず: いずれにしても、本当に深刻な問題なんですよね。

竹元隆洋Dr: はい。

二見いすず: ありがとうございました。
来週もまたよろしくお願い致します。

竹元隆洋Dr: どうぞ、よろしくお願いします。

二見いすず: お話は鹿児島県医師会の竹元隆洋ドクターでした。