2005.9.10
第124回放送分『禁煙』 ゲスト:村上直樹ドクター


二見いすず: 『今月は『禁煙』をテーマにお送りしています。
スタジオには、先週に引き続き、鹿児島県医師会の村上直樹(むらかみ なおき)ドクターにお越し頂きました。
村上さん、今日もよろしくお願いします。』

村上 直樹Dr: 『よろしくお願いします。』

二見いすず: 『さて、先週、タバコは、吸っている本人より周囲の人に及ぼす害が大きいというお話を伺いましたが、発育途上にある子どもたちには、予想以上に影響が大きいのでしょうね。』

村上 直樹Dr: 『妊娠中のお母さんがタバコを吸うと、おなかの赤ちゃんの心拍数が急激に増加します。
赤ちゃんの首をお母さんが絞めているのと同じことになります。
また、タバコを吸っている妊婦さんはそうでない人に比べて早産になる危険性が3倍以上、低体重児を生む割合が2倍以上という報告もあります。
赤ちゃんが生まれてからも、喫煙しているお母さんからは母乳にニコチンが出てきて、それを飲まされた赤ちゃんは、ぴりぴりした状態で下痢をしたり吐いたり、という非常にナーバスな状態が見られます。
乳幼児突然死症候群の一番の原因も、母親の喫煙にあると言われているんです。』

二見いすず: 『大切な赤ちゃんを守るためにも、特に子どもを持つ親御さんたちにはぜひ禁煙に取り組んでほしいですね。』

村上 直樹Dr: 『切実にそう思います。
自閉症の子、キレる子どもも、お母さんの喫煙と関係あると言われています。
子どもの喘息も周囲のおとなの喫煙と切り離せない病気です。
禁煙は喫煙者自身と子どもや周囲の大切な人への‘愛’だと思います。』

二見いすず: 『お父さん、お母さんがタバコを吸っている家庭では、自然と子どもも喫煙に抵抗が無くなるような気もしますね。』

村上 直樹Dr: 『はい。
以前にもお話しましたが、私が学校医を務めている小学校でアンケートをとりましたところ、全校生の約17名(5%)が喫煙経験があるということでした。
水面下にはもっといるかもしれませんが、その半数近くが小学校入学前に経験しているんです。
父親や祖父からオモシロ半分にすすめられたり、家にあったから吸ってみた、というような回答が多く、おとなの配慮がいかに大事か、ということですね。』

二見いすず: 『子どもの敏感な味覚では、タバコは決して美味しい筈はないと思いますが、環境や好奇心から、吸い始める子どももいるのでしょうね。
そうなると、おとな以上に深刻な影響があるのではないでしょうか?』

村上 直樹Dr: 『まさにその通りです。
子どもは、大人に比べて非常に短時間で容易にニコチン依存症に陥りやすく、やがては麻薬、覚醒剤へとエスカレートしやすいんです。
医学部学生による臨床実験では、学力アップのためにも、タバコは良い影響はありませんでした。』

二見いすず: 『怖い話ですが、目を背けてはならない事実ですね。
今日は時間が参りましたので、来週も引き続きお話を伺いたいと思います。
村上さん、来週もどうぞよろしくお願いします。』

村上 直樹Dr: 『はい、分かりました。』

二見いすず: 『お話は鹿児島県医師会の村上直樹(むらかみ なおき)ドクターでした。』