2006.1.21
第143回放送分『医師会と医療制度』 ゲスト:江畑浩之ドクター


二見いすず: 『今月は『医師会と医療制度』というテーマについて、鹿児島県医師会の江畑浩之(えばた・ひろゆき)ドクターにお話を伺っております。
江畑さん、今週もどうぞよろしくお願いします。』

江畑浩之Dr: 『よろしくお願いします。』

二見いすず: 『先週まで24時間の救急体制と苦情や相談窓口の設置など、患者の信頼と要望に対する医師会の活動について、お伺い致しました。
今日は医療費についてお聞かせいただけますでしょうか。』

江畑浩之Dr: 『はい。患者さんからは、医療に関する負担金が年々上がっているとの不満の声も聞こえてきます。
一方、政府は医療費にかかる国庫負担を抑えたいので、保険料と高齢者の窓口負担を引き上げ、さらに、医師の技術料の引き下げを予定しています。
国際的に見ると、日本の医療技術と医療制度は世界保健機関において世界一と認定されているのですが、医療費は先進国中で最低のレベルです。
例えば虫垂炎の手術にかかる費用は日本では平均38万円ですが、アメリカでは二見さんいくらだと思いますか?』

二見いすず: 『そうですね。
高いというイメージは持っているのですが、50万円ぐらいでしょうか?』

江畑浩之Dr: 『アメリカでは虫垂炎の手術に250万円もかかるんです。
初診料も、欧米では日本の4倍から10倍と高いため、医療施設への受診回数は日本の4分の1以下と少なくなっています。』

二見いすず: 『それだけ診察料が高いと、病院にかかりたくても、かかれない訳ですよね。
私達、日本に住んでいますと当たり前だと思っていますが、世界の医療の事情を伺いますと、そうではないということですよね。』

江畑浩之Dr: 『日本は国民皆保険ですから、誰でもいつでもどこでも受診できる制度で、これは維持すべき制度だと思います。
しかし現在、日本が医療・福祉にかける国家予算の割合は低く、スエーデンが45%、アメリカは30%ほどですが、日本は20%程度となっています。
国民の大切な命と健康を守るためには、国の無駄を省いて、せめて外国並みに予算を割いてほしいと願っています。』

二見いすず: 『伺っておりますと日本の医療の質は、世界一であるということ。
その一方で医療費は最も安くて国際的には素晴らしい制度であるということですよね。
ですから、国民皆保険を守るために私達一人一人が日本の医療や福祉予算についてよく考えなければいけないと思います。』

江畑浩之Dr: 『はい。その通りです。
医療費を効率的に使うためには私達も定期検診を受けたり、日頃の生活習慣を見直すことも大事かと思います。』

二見いすず: 『よく分かりました。
今週は医療費についてお話をしていただきました。
江畑さんどうもありがとうございました。』

江畑浩之Dr: 『ありがとうございました』

二見いすず: 『お話は鹿児島県医師会の江畑浩之(えばた・ひろゆき)ドクターでした。』