2006.2.4
第145回放送分『受験生の健康管理』 ゲスト:福迫 博ドクター


二見いすず: 『受験シーズンまっただ中ということで、今月は『受験生の健康管理』をテーマにお送りします。
お話しいただきますのは、鹿児島県医師会の福迫博(ふくざこ・ひろし)ドクターです。
福迫さん、よろしくお願いします。』

福迫 博Dr: 『よろしくお願いします。』

二見いすず: 『入学試験というのは、受験生だけでなく、その家族にとっても大きな出来事で、また試練の時でもあるように思いますね。』

福迫 博Dr: 『受験というのは、勉強のほかにも体力、精神力を養って、勝ち抜かなくてはならないわけですから、まさに格闘技のような闘いだと思います。
大きな舞台を控えて、予想以上の緊張や不安を感じる受験生も少なくないので、受験にふさわしい環境を家族ぐるみで作ってあげてほしいと思います。』

二見いすず: 『具体的には、どんなことに気を配ったらよいでしょうか?』

福迫 博Dr: 『はい。
まずは今の時期、風邪やインフルエンザの予防策は言うまでもありませんが、予防接種の時期と効果期間を知っておくことが大切です。
また、大切なのは睡眠です。
受験生になると、少しでも勉強時間を増やそうとして夜更かしをしてしまいがちなのですが、とくに睡眠時間が4時間以下になると、著しく作業効率が低下するという研究発表もあります。
10代の成長期には、できるだけ6時間の睡眠は確保していただきたいと思います。』

二見いすず: 『夜更かしを続けますと、昼間の集中力が低下するということで、試験当日にも実力が発揮できなくなりますよね。』

福迫 博Dr: 『はい。
夜更けまで勉強することが習慣化すると『睡眠相後退症候群』、いわゆる‘宵っ張りの朝寝坊’というパターンにはまってしまう場合もあります。
睡眠のサイクルが固定化してしまうと、なかなか朝型の生活パターンに戻りにくいので、せめて受験の1カ月くらい前には心療内科や精神科を受診して、睡眠サイクルを元に戻すことが大切だと思います。』

二見いすず: 『そのほかには、どのようなことが大切でしょうか。』

福迫 博Dr: 『受験が近づいてくると、極度の緊張や不安でおなかが痛くなったり、頭が締め付けられるように感じたり、心臓がバクバクしたり、ということを訴える場合も見られます。
また、万一「うつ」病の症状があっても、早めに治療すれば、病気も改善し、成績面での向上も見られますので、よりよい状態で受験に臨むことも可能です。
親御さんは、子どもの様子をよく見て、気になることがあれば、早めに専門医を受診していただければ、と思います。』

二見いすず: 『日ごろから親子のコミュニケーションをよくとること、そして子どものちょっとした異状を見逃すことなく、よりよい環境を作るという意味でも早めに専門医を受診なさることが大切ですね。
福迫さん、今日はどうもありがとうございました。』

福迫 博Dr: 『こちらこそ、ありがとうございました。』

二見いすず: 『お話は鹿児島県医師会の福迫 博(ふくざこ・ひろし)ドクターでした。』