2006.3.11
第150回放送分『小児救急』 ゲスト:野口 啓幸ドクター


二見いすず: 『今月は『小児外科の中の救急医療』について、鹿児島県医師会の野口啓幸(のぐち・ひろゆき)ドクターにお話を伺っています。
野口さん、どうぞよろしくお願いします。』

野口 啓幸Dr: 『よろしくお願いします。』

二見いすず: 『発達段階にある子どもたちの、外科的疾患を治療するのが小児外科であるというお話を先週は伺いましたが、急を要する子どもの病気やケガの代表的な例について伺いたいと思います。』

野口 啓幸Dr: 『鹿児島市立病院救急センターの小児外科へ来院した子どもたちの内訳をみると、一番多いのは、体の表面にみられるケガ「表在外傷」です。
それに続いて、打撲、鼠径ヘルニア、虫垂炎、内臓損傷、異物誤飲などと続いています。
ケガをした原因は、交通事故のほか自転車搭乗中の転倒、ブランコ、シーソーなど遊具からの転落などがあげられています。』

二見いすず: 『大きな事故やケガは、家族にとっても心配なことですが、まずは子どもの外傷の特徴について教えてください。』

野口 啓幸Dr: 『子どもは体が柔らかく、筋肉や骨に弾力性があるため、外部に外傷や骨折がみられず比較的軽傷に見えるケースもあります。
しかし、外見的には軽傷に見えても、肝臓、脾臓、膵臓などの内臓に深刻なダメージを受けている場合もあります。
また痛みを正確に表現できない場合もあるので、注意が必要です。』

二見いすず: 『スポーツや遊びに夢中になって、ケガをすることはよくあることですから、覚えておきたいですね。
ところで異物誤飲の場合、どのように対処すればよいのでしょうか。』

野口 啓幸Dr: 『薬剤、液体などを飲み込んだ場合はすぐに小児科へ相談してください。
外科的な処置が必要な場合、小児外科で対応することになります。
飲み込んだ物はたいがい排泄されますが、喉に詰まりやすい硬貨や尖った釘や針などの場合は、早急に受診してください。
またゲーム機や計算機などに使われるボタン電池は、胃の中に長く滞留すると放電し続けて、胃に穴があくこともあります。
早い段階なら、開腹手術をしなくても、カテーテルや内視鏡などで取り出す方法がありますので、早めに受診していただきたいと思います。』

二見いすず: 『やはり早めの受診が大切ですね。
では来週も引き続き、子どもの救急医療について伺いたいと思います。
野口さん、どうもありがとうございました。』

野口 啓幸Dr: 『ありがとうございました。』

二見いすず: 『お話は鹿児島県医師会の野口啓幸(のぐち・ひろゆき)ドクターでした。』