2006.3.25
第152回放送分『小児救急』 ゲスト:野口 啓幸ドクター


二見いすず: 『今月は『小児外科の中の救急医療』について、鹿児島県医師会の野口啓幸(のぐち・ひろゆき)ドクターにお話を伺っています。
野口さん、今週までどうぞよろしくお願いします。』

野口 啓幸Dr: 『よろしくお願いします。』

二見いすず: 『腸重積症や急性虫垂炎など、外科的に急を要する症状の特徴について先週伺いましたが、とくに小さな子どもさんは症状をはっきり訴えることができないので、ご家族の注意が必要ですね。』

野口 啓幸Dr: 『いつもミルクを吐くとか、繰り返し肺炎に罹るなどの症状がみられたら、内臓に重大な疾患が潜んでいることも考えられますので、早急に受診してほしいと思います。
あと子どもの外科手術では、小腸、大腸、あるいは卵巣、卵管が飛び出して鼠径部が腫れる「外鼠径ヘルニア」いわゆる脱腸が多いです。』

二見いすず: 『早く処置をしないといけない病気なんでしょうか。』

野口 啓幸Dr: 『自然に治ることを期待して放置しておくと、その飛び出した腸などの管の根本が締めつけられる「嵌頓」という状態になり、おなかの中に戻りにくくなる上、その先の部分が壊死して、腹膜炎を起こす可能性があるので、早く整復する必要があるのです』

二見いすず: 『やはり、早めに受診した方がいいですね。』

野口 啓幸Dr: 『ええ。重症化してしまうと、一番つらいのは子ども本人ですから、家族の方が早めに気を付けてほしいと思います。』

二見いすず: 『そうですね。
それにしても、子どもの病気、事故は、時を選ばず起こることが多いので、焦ったりしますが、家族は冷静に、かつ迅速に対応する心構えが日ごろから大切ですね。』

野口 啓幸Dr: 『子どもの死因、というと縁起でもないかもしれませんが、0歳児が先天的な疾患、それ以上の年齢になると不慮の事故、というのがトップを占めているんです。
不幸にも不慮の事故が起きた時、私たち小児外科医が少しでも救命、治療に役に立つことが出来れば、と願っています。』

二見いすず: 『救急医療については、家庭でも日ごろから気を付けて、知識を身につけておくことも大切かもしれませんね。
とくに小さな子どもさんのいる家庭では、必要なことでしょうね。野口さん、一ヶ月にわたり、どうもありがとうございました。』

野口 啓幸Dr: 『こちらこそ、ありがとうございました。』

二見いすず: 『お話は鹿児島県医師会の野口啓幸(のぐち・ひろゆき)ドクターでした。』