2006.5.13
第159回放送分『五月病』 ゲスト:上山 健一ドクター


二見いすず: 『先週から、鹿児島県医師会の上山健一(うえやまけんいち)ドクターに、今の時期に起こりやすい「五月病」についてお話を伺っています。
上山さん、よろしくお願いいたします。』

上山 健一Dr: 『よろしくお願いします。』

二見いすず: 『先週は、「五月病」が、新しい環境に適応できないストレスからくる精神的、身体的症状のことをいう、ということをお話いただきました。
では、この「五月病」になりやすいタイプというのはあるのでしょうか?』

上山 健一Dr: 『はい。同じ出来事が起こっても、人によってとらえ方が違い、ストレスと感じる人と、そうでない人がいますよね。
「五月病」は、起こった出来事をストレスと感じやすい、性格的にきまじめ、完全主義、内向的な方に起こりやすいと言われています。』

二見いすず: 『真面目な方に多いということが言えるのですね。
では、心の持ち方をどのようにしたら「五月病」を防ぐことができるのでしょうか。』

上山 健一Dr: 『はい。環境の変化というストレスに対応する場合、短期間のうちに、大雑把なところをつかんで、どうすればうまくやりこなせるかを考えた方がいいと思います。
どれもこれもパーフェクトにやり抜こうとせず、6〜7割くらいを目標にされてみてはいかがでしょうか。』

二見いすず: 『あまり几帳面に堅苦しく考え過ぎないほうがいいのですね。』

上山 健一Dr: 『そうですね。
やれるだけやってみて、ダメなときは仕方がない、と割り切ることも一つの選択だと思います。
結果を出せなくても、あまり引きずらない方がいいと思いますよ。』

二見いすず: 『考えてみますと、始めは誰だって、完璧にできないのが当たり前ですしね。
気を楽にして、リラックスして、ということでしょうか。』

上山 健一Dr: 『はい。また、もう一つの考え方では、「五月病」にかかる人は、現状に流されず、「こんなはずではなかった・・・」と認識できる感性のするどい方ということもできると思います。
もし、今の職場や学校がどうしても合わないと感じたら、友人やご家族によく相談して、思いきって引き返して、方向転換することもいいんじゃないかな、と思っています。
人生は、挫折を知らず、ストレートに行くことだけが幸せ、とも限りませんからね。』

二見いすず: 『見方を変えますと、「五月病」は、悪いことだけではないのですね。
もしかしたら、自分のことを見つめなおす、今まで気づかなかったことに気づくきっかけにもなるかもしれない・・・ということですね。』

上山 健一Dr: 『はい。「五月病」の症状を感じたら、あまり焦らず、じっくりと自分と向き合ってみてください。
ただ、症状が悪化すると「うつ病」になってしまう場合もありますので、精神科の医師に相談していただければ、と思います。』

二見いすず: 『はい、よく分かりました。
気になることがあったら、あまり一人で抱え込まず、専門医に相談してください。
来週も引き続き「五月病」について伺います。
ありがとうございました。』

上山 健一Dr: 『ありがとうございました。』