2006.9.2
第175回放送分『スポーツ外傷とスポーツ障害』 ゲスト:橋口兼久ドクター


二見いすず: まだまだ暑い日が続きますが、9月に入り、さまざまなスポーツに親しむのに絶好のシーズンとなってきました。
そこで今月は、「スポーツ外傷とスポーツ障害」について、鹿児島県医師会の橋口兼久(はしぐちかねひさ)ドクターにお話を伺ってまいります。
橋口さん、よろしくお願いいたします。

橋口 兼久Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: さて、今年の鹿児島は、1月の鹿児島実業のサッカー、夏の甲子園での鹿児島工業高校の大活躍で大いに盛り上がりました。
最近では、子どもさんから高齢者の方まで、健康のためにスポーツをなさる方が増えています。
スポーツは健康と密接な関係があるものですが、一方で気をつけていただきたいのがケガや故障ですね。

橋口 兼久Dr: はい。
スポーツによって起こる体の不調には「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」のふたつがあります。
「スポーツ外傷」はいわゆるケガのことです。
プレー中に転んだり、ねじったり、ボールや人にぶつかったりして起こるもので、擦り傷や切り傷のほか、肉離れ、捻挫、打撲、骨折、脱臼、靭帯損傷などの症状があります。

二見いすず: 走っているときに転んですりむいたり、バレーボールをしていて突き指をしたりといった経験をされた方も多いと思います。

橋口 兼久Dr: そうですね。
そういった偶発的な事故によるものでなく、長期にわたって体が少しずつダメージを受けて起こる故障が「スポーツ障害」と呼ばれるものです。
よく知られているものとしてはサッカー少年のオスグッド病、少年野球の野球肩、その他テニス肘、ランナー膝などがあります。
ほかにも疲労骨折、慢性腰痛などの症状があります。
特に幅広い年代で、膝の痛み、腰痛は多くのスポーツ種目で見られます。
単なる打撲や捻挫であればよいのですが、屈伸やひねり運動の繰り返しによって、背骨の一部が疲労骨折を生じる腰椎分離症や、椎間板ヘルニアなどの重大な障害が起こる場合もあるので、症状があったら早めに専門医に相談をしていただきたいと思います。

二見いすず: 大人はもちろん、まだ体が成長しきっていない小中学生のうちから激しいスポーツを繰り返すと大きな負担があると思われますが、やはり、子どもたちには特に配慮が必要なのでしょうね。

橋口 兼久Dr: 子どもさんは、周囲の期待に応えようと痛くても我慢して頑張りすぎてしまうことがよくあるので、肉体的にも精神的にも大きな負荷がかからないように、保護者や指導者の方に配慮していただきたいと思います。
故障が悪化すると、将来的にも良くない影響が出てくる可能性もありますので、早めに医師に相談して治療に取り掛かることが必要だと思います。

二見いすず: 良く分かりました。
子どもさんには特に周りの大人が気を配ってあげたいものですね。
橋口さん、今日はどうもありがとうございました。

橋口 兼久Dr: はい、ありがとうございました。