2007.6.2
第214回放送分『虫による皮膚炎』 ゲスト:西 正行ドクター



二見いすず: 6月に入りました。
夏に向かうこれからの季節、注意していただきたい皮膚のトラブルについて、鹿児島県医師会の西正行(にし まさゆき)ドクターにお話をおうかがいします。
西さん、よろしくお願いいたします。

西 正行Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: まず今日は、虫による皮膚のトラブルについて、お話をお願いいたします。
今の時期、虫による皮膚炎が多く報告されるとうかがいましたが、いかがでしょうか。

西 正行Dr: はい、今の時期に多いのは毛虫による皮膚炎です。
この毛虫はチャドクガという毒蛾の幼虫にあたります。

二見いすず: チャドクガという蛾の幼虫である毛虫によるトラブルということですが、どんな特徴があるのでしょうか。

西 正行Dr: この毛虫は、サザンカやツバキなどの木についていて、特に夏前と秋口に多くなります。
チャドクガで注意しなければならないのは、直接触れなくても、飛んできた人間の目には見えない、正式には毒針毛といいますが、毒針で被害を受けるという点です。

二見いすず: 目に見えない毒針で刺されてしまうということですが、気が付かないうちに刺されていた、ということもあるわけですね。

西 正行Dr: その通りです。
木の側を通ったりすると、知らず知らずのうちに刺されている、ということがあるんですよ。

二見いすず: それは怖いですよね。
では刺されるとどんな症状が出るんですか。

西 正行Dr: チャドクガの毒針に刺された範囲に赤いブツブツができて、かゆみを感じます。
症状の重い方は、全身が蕁麻疹のようにはれあがる場合もあります。

二見いすず: 刺された範囲に赤いブツブツができてというお話をなさいましたが、毒針は1本ではないのですね。

西 正行Dr: いいえ、これは大変無数にたくさんふりかかってきますので、赤いブツブツがかたまってできるような状態になります。

二見いすず: それは大変ですね。
そういった症状が出たとき、どのように応急処置をしたらいいのでしょうか。

西 正行Dr: 皮膚に目に見えない細かい毒針が刺さっている状態ですので、こするのは絶対にやめてください。
まずは、ガムテープやセロハンテープなどで注意深く針を取り除き、その後シャワーなどで洗い流してください。
その後、皮膚科へご相談願えればと思います。

二見いすず: はい。
毒針が刺さっていると思われる辺りに優しくガムテープなどで貼付けてはがすということですね。
注意深くやっていただきたいと思います。
それにしましても、目に見えないとなりますと、チャドクガから身を守るのも大変ですね。

西 正行Dr: そうですね。
まずは、この時期は、サザンカ、ツバキなどの木にできるだけ近づかないことです。
そして、布製の衣服は、毒針が貫通してしまいますので、雨合羽のような素材のものを着用することで防ぐことができると思います。

二見いすず: はい、分かりました。
チャドクガから身を守るには、木に近づかないこと、どうしても近づかなければならない場合は雨合羽のような物を着て近づくこと、そして、刺されてしまった場合は、ガムテープなどで注意深く針をとって、シャワーで洗い流す。
こすることは絶対いけないんですね。
はい、分かりました。
お話は鹿児島県医師会の西正行ドクターでした。
来週も引き続き、皮膚のトラブルについてお話をお願いします。
西さん、ありがとうございました。

西 正行Dr: ありがとうございました。