2007.8.4            第223回放送分『熱中症』 ゲスト:有村敏明ドクター



二見いすず: 今月は、「禁煙」について、鹿児島県医師会の有馬新一(ありましんいち)ドクターにお話を伺っています。
有馬さん、どうぞよろしくお願いいたします。

有馬新一Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 前回はタバコを吸っている人、本人の健康への影響についてお話を伺ったのですが、今日は周囲の人への影響「受動喫煙」についてお聞きします。

有馬新一Dr: 火のついているタバコの先端から立ち上る煙「副流煙」には、活性酸素やダイオキシン等、タバコを吸う本人が吸い込む以上の害毒が含まれています。
ニコチンは約3倍、タールは約3.5倍という数値が出ています。

二見いすず: ええっ、そうなんですか。
自分が吸わなくても、吸っている人のそばにいるだけで、吸っている人よりも悪い影響があるなんて、迷惑な話ですね。

有馬新一Dr: 1日20本以上吸っている男性の妻は、非喫煙者の妻に比べて肺がんにかかる率が1.5倍以上という統計も出ています。

二見いすず: なるほど。子ども達への影響も心配です。

有馬新一Dr: そのとおりです。
お父さんが何気なく置いていたタバコを小さい子どもが間違えて食べてしまって死亡したり、火の付いたタバコの先でヤケドをするという事故もあります。
また、子どもの喘息も周囲のおとなの喫煙と切り離せない病気です。
小さい子どもは環境に大きな影響を受けますから、周囲の大人は気を配ってあげてほしいものです。

二見いすず: 特に胎児への影響がこわいですね。

有馬新一Dr: 妊娠中のお母さんがタバコを吸うと、血中の酸素濃度が下がるわけですから、おなかの中の赤ちゃんは酸素不足になって心拍数が急激に増加するので、知能や体の成長を阻害する心配もあります。
また、タバコを吸っている妊婦さんはそうでない人に比べて早産になる危険性や低体重児を生む割合が2倍以上という報告もあります。
赤ちゃんが生まれてからも、母乳にはニコチンが出てきますから、赤ちゃんに影響が出ます。
また、両親が喫煙している場合の乳幼児突然死症候群の発生の危険性は、非喫煙者家庭の10倍ともいわれています。

二見いすず: 大切な赤ちゃんを守るためにも、お父さんもお母さんもぜひ禁煙に取り組んでほしいですね。

有馬新一Dr: その通りです。
成長してからも、お父さんやお母さんがタバコを吸っている家庭では、自然と子どもも喫煙に抵抗がなくなってしまうので、将来の喫煙に結びついてしまう心配もありますね。

二見いすず: タバコは吸っている本人だけでなく、周囲の人にも深刻な影響を与えるということがよく分かりました。
次回は、実際の禁煙への取り組みについてお話を伺います。
有馬さん、ありがとうございました。

有馬新一Dr: ありがとうございました。