『皮膚疾患』 ゲスト:谷 暁子ドクター



二見いすず: 9月に入りました。
この時期に気をつけたい皮膚のトラブルについて、鹿児島県医師会の谷暁子(たに あきこ)ドクターにお話をおうかがいします。
谷さん、よろしくお願いいたします。

谷 暁子Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: まず今日は、医療機関へのご相談も多いという、虫による皮膚のトラブルについて、お話をお願いいたします。
虫による皮膚トラブルと言いますと、どのようなものがあるのでしょうか。

谷 暁子Dr: はい。
多いのは、チャドクガという毛虫による皮膚炎です。
この虫は、毒蛾の幼虫で、年2回発生します。

二見いすず: 年に2回発生するとは、いつ頃なのでしょうか。

谷 暁子Dr: はい。
1回目は5月のゴールデンウイークのころ。
そして、6〜7月ころに成虫が羽化して、また産卵し、8月、9月ごろに2回目の幼虫が発生します。

二見いすず: つまり、ちょうど今、幼虫が発生している時期ということですね。

谷 暁子Dr: そうなんです。
この毛虫は、庭木や街路樹等にもよく使われている、サザンカやツバキなどの木に多くついているという特徴があります。

二見いすず: どういう被害があるのでしょうか。

谷 暁子Dr: はい。
この虫は、体に数万本もの大変細かい毒針毛を持っています。
この毒針毛がやっかいなのは、直接刺されなくても、風に乗って飛んできたものが触れるだけで、皮膚が赤くなってしまうという点です。

二見いすず: えっ、では、近くを通っただけでも皮膚炎をおこしてしまう可能性がある、ということですね。

谷 暁子Dr: そうなんです。
しかも、しばらく時間がたってから、症状が出てくる場合もあり、なぜ皮膚炎をおこしたのか、ご自分では原因が分からないというケースもあるようです。

二見いすず: なるほど。
目に見えないほど細かい毒針毛が、風に乗って飛んできたら、気付かないこともあると思います。
では、どういう症状が出たら、チャドクガによる皮膚炎だと思ったらよろしいでしょうか。

谷 暁子Dr: はい。
まず、皮膚に細かい赤いブツブツがたくさんできて、チクチクとしたかゆみを感じます。

二見いすず: 赤いブツブツとかゆみですね。

谷 暁子Dr: そうですね。
かゆいので、思わずかいてしまう患者さんもいらっしゃいます。
そうするとかぶれが広がってしまうので、注意してください。

二見いすず: では、どうしたらよろしいのでしょうか。

谷 暁子Dr: はい。
赤い細かいブツブツが皮膚に出て、チクチクしたかゆみを感じたら、医療機関へご相談ください。
また、家庭でできる応急処置としては、セロハンテープなどで針を取り除いていただいてもいいと思います。
ただし、同じテープで何度もペタペタすると、別な場所に毒針毛をまた刺してしまうので、注意してください。

二見いすず: わかりました。
今の時期、チャドクガの幼虫が発生していると言うことですので、刺されたと自覚がなくても、気付かないうちに毒針毛に触れて、赤くなっている場合もありますので、症状が出たら、やはり、まずは医療機関へ相談していただきたいと思います。
谷さん、本日はありがとうございました。

谷 暁子Dr: ありがとうございました。