『小児救急』 ゲスト:松田幸久ドクター



二見いすず: 今月は、「小児救急」について、鹿児島県医師会の松田幸久(まつだ ゆきひさ)ドクターにお話うかがっています。
松田さん、よろしくお願いいたします。

松田幸久Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、小児救急でもっとも多い発熱について伺いました。
今週は、次に多いという、嘔吐、痙攣についてお願いいたします。

松田幸久Dr: はい。
まず、子どもの嘔吐は、食べ過ぎて吐いてしまう場合や、嘔吐下痢症という病気が考えられます。
食べすぎの場合は、1回吐くとケロッとして、また元気になりますので、それほど心配はいりません。

二見いすず: では、嘔吐下痢症の場合は、どうなりますか?

松田幸久Dr: はい。
嘔吐下痢症の場合は、何回も吐いて、その後下痢になるのが特徴です。
この場合は、医療機関へ相談ください。
その際、子どもが吐くと、脱水になるのが心配で、水分を与えないといけないと思って、ゴクゴクと飲ませてしまうお母さんも多いです。
しかし、水分を与えすぎると、また吐く原因になってしまうので、水をスプーンに入れて、口のかわきをとる程度に少しずつあげるほうがいいんですよ。

二見いすず: そうなんですね。
つい水をたくさん飲ませればいいと思っていました。

松田幸久Dr: 吐いた後の水分補給は、少しずつあげるのが基本です。
目安としては、コップ半分の水を1時間かけて飲ませるような感じです。

二見いすず: よくわかりました。
食べすぎは、注意すれば防げますが、嘔吐下痢症については、予防策はありますか?

松田幸久Dr: そうですね。
嘔吐下痢症はウイルス性ですから、外出から帰ってきたら、手洗いうがいをしっかりすることで、ある程度は防げます。
吐いたものや、下痢便の中にウイルスがひそんでいますので、ちゃんと後始末をすることも大切です。

二見いすず: なるほど。

松田幸久Dr: ウイルスが原因ですので、嘔吐下痢症が流行しているときは、風邪と同じように外出を控えるとか、人ごみにできるだけ行かないという対策も考えられますね。

二見いすず: よく分かりました。
では、痙攣についてお願いいたします。

松田幸久Dr: はい。
痙攣で多いのが、何らかの病気で熱が急激に上がるときにおこる、熱性痙攣です。
日本人の子どもの10人に1人は経験すると言われています。

二見いすず: 10人に1人とは、多いですね。
では、熱が急激に上がる病気というと・・・。

松田幸久Dr: はい。例えば、インフルエンザとか、突発性発疹などがあります。

二見いすず: 痙攣というと、てんかんとか、脳炎などではないかと心配になります。

松田幸久Dr: そうですね。
てんかん、脳炎、髄膜炎は、痙攣を2回以上繰り返します。
その場合は、救急にただちにご連絡ください。
熱性痙攣の場合は、ほとんどが1回で収まりますし、体の動きが左右対称になるので分かると思います。
その場合は、緊急性が低い場合も多いので、様子を見るのもいいでしょう。

二見いすず: わかりました。
痙攣にもいろいろな種類があり、救急とそうでない場合があるということですね。

松田幸久Dr: そうですね。
救急に行くのがいい場合と、かかりつけ医に行くのがいい場合を見極めていただくと、より適した診療が受けられると思います。

二見いすず: よく分かりました。
松田さん、今週もありがとうございました。

松田幸久Dr: ありがとうございました。