『認知症』 ゲスト:長井医継ドクター



二見いすず: 今月は「認知症」についてお送りします。
お話は、鹿児島県医師会の長友医継(ながともいつぎ)ドクターです。
長友さん、今週もよろしくお願いいたします。

長友医継Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、「認知症」が脳の病気からおこる知能低下から発生する状態のことをいうとお話いただきました。
今週は、治療と予防についてお伺いいたします。
まず、認知症には、治療法はありますか。

長友医継Dr: はい。
認知症には、治るものと治らないものがあります。
治るものの例としては、慢性硬膜下血腫や、正常圧水頭症など、脳外科的手術で治る場合があります。
ただし、これらの病気は、認知症全体のごく一部に過ぎません。
約6割を占めるアルツハイマー型認知症や、約3割を占める脳血管性認知症は、治すのは難しいといえるでしょう。

二見いすず: そうなんですか・・・。
でも、ときどき「認知症が治った」と聞いたことがある気がします。

長友医継Dr: それは、例えば、認知症になることで、社会とうまく接することができなくなり、閉じこもりがちになったとします。
そうすると、その方の症状は、認知症そのものの症状に、閉じこもって刺激がなくなった状態、私たちは、生活不活発病といっていますが、それによる影響が加わってきます。
そして、その両方があわさって臨床症状として表に表れてきます。

二見いすず: 生活不活発病ですか・・・。

長友医継Dr: はい、生活が不活発になることで起こる様々な症状のことです。
以前は廃用症候群とも言いました。
その患者さんを外へ連れ出したり、レクレーションをさせることで、生活不活発病の部分が改善すると「認知症が治った」といわれたりすることもあります。

二見いすず: ええ。

長友医継Dr: しかし、これは、閉じこもりによる生活不活発病の症状が改善しただけで、もともとの認知症が治ったわけではないんです。

二見いすず: なるほど。

長友医継Dr: ただし、アルツハイマー型認知症については、塩酸ドネペジルという薬があり、認知症の進行を抑制し、知能の急激な低下を先送りすることができるといわれています。

二見いすず: 治療は難しいけれど、一定期間抑制はできる、ということですね。

長友医継Dr: そうですね。

二見いすず: では、予防法としては、どのような方法がありますか。

長友医継Dr: はい。
認知症の3割を占める脳血管性認知症は、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害が原因です。
このような病気は、動脈硬化がもとになるので、それをもたらす生活習慣病に気をつけることが有効です。

二見いすず: なるほど。

長友医継Dr: また、アルツハイマー型認知症も、はっきりとは言えませんが、同様に生活習慣病にならないように注意した方がいいと言われています。
また、栄養面、運動面にも注意を払うと良いといわれています。

二見いすず: 分かりました。
認知症予防のためにも、生活習慣を見直すことが大切だとわかりました。
今週は「認知症」の治療と予防について、鹿児島県医師会の長友医継(ながともいつぎ)さんにお話をうかがいました。
長友さんありがとうございました。

長友医継Dr: ありがとうございました。