『認知症』 ゲスト:長井医継ドクター



二見いすず: 今月は「認知症」についてお送りします。
お話は、先週に引き続き、鹿児島県医師会の長友医継(ながともいつぎ)ドクターです。
長友さん、今週もよろしくお願いいたします。

長友医継Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、「認知症」治療と予防についてお話していただきました。
認知症は一部のものを除いて治療が難しいこと、アルツハイマー型認知症は一定期間抑制する薬があること、そして、予防には生活習慣病予防が効果的だということでした。
さて、今週は、家族が認知症になったら・・・というテーマでお送りします。

長友医継Dr: はい。
まず、第一に知っておいていただきたいのが、認知症になった方は、悪気があって、物忘れをしたり、作り話をしたり、徘徊したりしているわけではないことを、十分に知っておいていただきたいと思います。

二見いすず: そうですよね。
ご自分でもどうしようもなく、記憶が抜け落ちたりするわけですものね。

長友医継Dr: そうです。
認知症の方は、周りの世界と自分の世界がずれていくのを感じています。

二見いすず: 周りの世界と自分の世界がずれていくとは・・・。

長友医継Dr: はい。
認知症の方は、現実の世界をはっきり認識できず、「いつ? 誰が? 何を?」という感覚で、身の回りに分からないことがたくさん出てきます。

二見いすず: それは、大変です・・・。

長友医継Dr: 常に不安と緊張の連続。
常に疲れてしまう状態です。

二見いすず: なるほど。

長友医継Dr: また、情報処理スピードが落ちるので、周囲の日常生活にさえ、焦りを感じたりします。
また、些細なこと、例えば、人の声、光や影、色や模様など、ありふれた生活の刺激が、自分に降り注ぐ脅威に感じられることもあるのです。

二見いすず: それは、苦しいですね。

長友医継Dr: はい。
そのほか、健常者にはなんでもないことが、認知症の方には大きなストレスになることが多々あります。
その不快感に、嫌悪や混乱、怒りを感じることもありますので、周囲の理解が必要です。

二見いすず: なるほど。
では、家族が認知症になったら、心がけることはどういったことでしょうか。

長友医継Dr: はい。
まず、認知症についての十分な理解をもち、不安感を取り除くことを第一にしてください。
また、「私がそばにいるから大丈夫」というメッセージを言葉や態度で示してあげるといいでしょう。

二見いすず: 分かりました。

長友医継Dr: また、一般的に「問題行動」と思われることについても、思っていることをうまく表現できない認知症の方の心の叫びと思って、注意してみると、何が困っているのかを察することができるかもしれません。


二見いすず: 認知症の方が感じている世界を理解し、ストレスをかけないようにしてあげることが大切なのですね。
今週も鹿児島県医師会の長友医継(ながともいつぎ)さんにお話をうかがいました。
来週も引き続き認知症についてお送りします。
長友さん、今週もありがとうございました。

長友医継Dr: ありがとうございました。