『認知症』 ゲスト:長井医継ドクター



二見いすず: 今月は「認知症」についてお送りしています。
今週は、リスナーからのご質問にお答えします。
お答えいただくのは、鹿児島県医師会の長友医継(ながともいつぎ)ドクターです。
長友さんよろしくお願いいたします。

長友医継Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今月は3週にわたって、「認知症」についてお伺いしてきました。
放送を聴いた方から、ご質問をいただきました。

長友医継Dr: はい。

二見いすず: 読み上げます。
「80歳になる母が認知症と診断されました。最初はショックでしたが、今は一緒に頑張っていこうと思っています。しかし、最近、排泄の失敗などが重なり、いけないとわかっていかながら、イライラして接している自分にとても自己嫌悪を感じます。心の持ち方のアドバイスをお願いします」とのことです。

長友医継Dr: ご質問ありがとうございます。
家族が認知症になった場合、介護をされる家族の多くは、同じ気持ちを経験されています。
まず、認知症の患者さんの状態に驚き、戸惑います。

二見いすず: そうですよね。最初は、ショックですよね。

長友医継Dr: 次に、患者さんが排泄を失敗しないか、徘徊しないかと緊張したり、患者さんの攻撃的な言葉に傷ついたりして、混乱、怒りを感じ、拒絶感、抑うつ感を感じます。

二見いすず: なるほど。

長友医継Dr: そして、この状態を過ぎると、いい意味でのあきらめ、開き直りという適応状態が出てきます。

二見いすず: すごいですね。前向きにとらえなおすのですね。

長友医継Dr: そうです。
病気だから仕方がないと理解し、家庭を明るくしようと努力されたりします。

二見いすず: それは、素晴らしいですね。

長友医継Dr: はい。
そして、さらに、認知症患者さんの不安感や寂しさを理解できるようになり、最終的には、すべてを受け入れることができるようになります。

二見いすず: そうですか。
介護される方は、本当に苦しいでしょうけれど、そのように変化していくことができるのですね。

長友医継Dr: はい。
もちろんすべての方がこのように変化していくとは限りませんが、このように変わっていくことができる方もいることも事実です。
ご質問の方は、介護を始めて戸惑うことばかりで、お苦しいとは思いますが、いつかはそういう日がくると信じて心に希望を持っていただけたらいいと思います。

二見いすず: 分かりました。

長友医継Dr: 介護者が健康でないと健全な介護はできません。
今はさまざまな制度がサポートしてくれますので、ご質問者の方も、一人で抱え込みすぎないでほしいと思います。
認知症については、県庁のホームページなどで情報を得たり、県の老人性認知症センターや近くの精神病院、神経内科病院、脳外科などに相談してみてください。

二見いすず: よく分かりました。
相談者の方は、今はとてもお苦しいかもしれませんが、いつか受容できる日が来ることを信じてくださいということ。
そして、一人で抱えこまないでさまざまなサポートを活用して健全な介護を、ということでした。
長友さん、4週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。

長友医継Dr: ありがとうございました。