『うつ病』 ゲスト:市場美緒ドクター



二見いすず: 5月になりました。
今月のドクタートークは、うつ病について5週にわたり、お送りいたします。
お話は、鹿児島県医師会の市場美緒(いちばみお)ドクターです。
市場さんよろしくお願いいたします。

市場美緒Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今回のテーマは、最近よく耳にする「うつ病」です。
働きすぎて心が疲れてしまったり、何かショックなことがあったりした方がかかってしまう病気というイメージがあります。

市場美緒Dr: はい。
二見さんがおっしゃるように「うつ病」は、無理をしすぎて心が疲れ果ててしまったり、何かショックなことがあったりしたとき、誰でも心が落ち込んでしまうものですが、その落ち込みから、なかなか立ち直ることができない状態のことを言います。

二見いすず: なるほど。
生きていれば、誰でもショックなことが起こってしまうこともありますが、落ち込んでも、しばらくすると「このままではいけない!」と前向きに考えようとしたりするものですよね。
それが難しいのが、「うつ病」なんですね。
では、どのくらい立ち直れないと「うつ病」の可能性があると思ったらいいでしょうか。

市場美緒Dr: はい。
医学的には、約2週間にわたって落ち込みが続くときには、「うつ病」の可能性があると考えています。

二見いすず: 分かりました。
では、「うつ病」は、単に心の状態だけの問題なのでしょうか。

市場美緒Dr: 「うつ病」を医学的に説明すれば、脳の中でセロトニン、ノルアドレナリンという物質が減ってしまって、神経の伝達が不活発になっている状態のことをいいます。

二見いすず: 「うつ病」になると、体の中ではそういった状態が起こっているのですね。
では、「うつ病」の代表的な症状を教えて下さい。

市場美緒Dr: はい。
まず、「気持ちが落ち込む」「意欲がなくなる」「考えが前に進まなくなる」などが挙げられます。
また、何かを一生懸命やろうとすればするほど上手くいかないということもあります。

二見いすず: それは、ご本人はお辛いですね。

市場美緒Dr: そうですね。
そして、「うつ病」の症状が進行すると「死にたい気持ちになる」という状態に陥ってしまう方もいらっしゃいます。

二見いすず: 「死にたい気持ちになる」とは、大変な深刻な問題ですね・・・。

市場美緒Dr: そうなんです。
また、精神面だけではなく、体に症状が出るケースもあります。
人によって様々なのですが、「眠れなくなる」「食欲がなくなる」「胸がムカムカする」などがあります。

二見いすず: なるほど。

市場美緒Dr: 体の症状は、ほかの病気の可能性もあるため、もし「うつ病」が原因だったとしても、気づくのに時間がかかる場合があるようです。
高齢者の方の「うつ病」は、身体的な不安を伴う場合が多いため、精神面よりも体に症状として出るケースも多いようです。

二見いすず: なるほど。
そういった症状について、体の検査をしても原因不明だった場合は、「うつ病」の可能性も検討してみると必要があるということですね。
よく分かりました。
今週は、「うつ病」についてうかがいました。
市場さん、来週もよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

市場美緒Dr: ありがとうございました。