『うつ病』 ゲスト:市場美緒ドクター



二見いすず: 今月のドクタートークは、先週に引き続き、鹿児島県医師会の市場美緒(いちばみお)ドクターにお話をうかがいます。
市場さんよろしくお願いいたします。

市場美緒Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 前回まで3週にわたり「うつ病」について、うかがいました。
「うつ病」は、誰でもかかる可能性がある病気であること、そして、きちんと治療すれば治る可能性が高いので、「うつ病かな?」と思ったら、専門医へ相談してください、ということでしたね。

市場美緒Dr: はい。その通りです。
我慢してそのままにしたり、放置しておくと、ときには「死にたい気持ち」になってしまったりする場合もありますので、ご自身で専門医を訪ねるか、または、周囲の方々もきちんと治療することをすすめていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
では、本日は、この時期に多い「五月病」についても、少しだけうかがえますか。

市場美緒Dr: はい。
「五月病」は、「うつ病」のような症状が見られるときもありますが、「適応障害」といって、環境の変化など、何か明確なきっかけがあってストレスを感じ、それが心や体の状態となって出てくることを言います。

二見いすず: 例えば、新しい会社に入るとか、新しい学校やクラスに入るとか、そういった環境の変化ということですね。

市場美緒Dr: そうですね。
五月病の症状としては、頭痛、めまい、不眠、やる気がおきない、イライラするなどが挙げられます。

二見いすず: では、どう対処したらよろしいでしょうか。

市場美緒Dr: はい。
五月病は、新しい環境になれてくるにしたがって、自然に治っていくケースもあります。
また、病院へご相談いただいて、カウンセリングを中心に、お薬を一時的な対症療法として使いながら治療する方法もあります。

二見いすず: なるほど。

市場美緒Dr: 「うつ病」でも、「五月病」でもいえることですが、ご本人は、「がんばろうと焦っているのに、がんばることができない」という辛い状態です。
ですから、周囲としては、「がんばって!」という言葉はかけないであげてほしいと思います。

二見いすず: ついつい励ますつもりで言ってしまいそうです。

市場美緒Dr: そうですよね。
応援する気持ちで言ったとしても、ご本人にとっては負担になるかもしれません。
むしろ、がんばっている事実をしっかり認めてあげて、「がんばらなくていいよ」「ゆっくりいこう」と声をかけてあげるのがいいと思います。

二見いすず: そうなんですね。
焦りをなくしてあげて、状態がよくなることを見守ってあげることが大切ですね。

市場美緒Dr: そうですね。
「うつ病」も「五月病」も、自分ひとりで悩みを抱えこんで頑張りすぎないで、周囲の人に話をしたり、私たち専門医療機関へご相談いただいたりして、心を軽くしていただきたいと思います。
多くの方が、「うつ病」をしっかり治療して克服し、元気に生活をされていることをぜひ知っていただきたいですね。

二見いすず: よく分かりました。
お話は、市場美緒(いちばみお)ドクターでした。
ありがとうございました。

市場美緒Dr: ありがとうございました。