『うつ病』 ゲスト:市場美緒ドクター



二見いすず: これまで4週にわたり、鹿児島県医師会の市場美緒(いちばみお)ドクターに「うつ病」を中心にお話をうかがってきました。
5回目の今日は、特にご相談が多いケースなどについて具体的にお話をうかがいたいと思います。
市場さん、今日もよろしくお願いいたします。

市場美緒Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: これまで、「うつ病」と「五月病」についてお話を伺ってきました。
市場さんは、日々、外来や病棟で患者さんに接していらっしゃるわけですが、特にラジオをお聞きの方に伝えたいケースなどはありますか。

市場美緒Dr: はい。
以前の放送の中で、日本人の男性では10人に1人、女性では5人に1人が、一生のうち、うつ病の定義にあてはまるものにかかっているという統計をご紹介しました。

二見いすず: そうでしたね。

市場美緒Dr: そこで、女性が多いということがお分かりになりますよね。
最終日の今日は、女性とうつ病についてお話したいと思います。

二見いすず: ぜひお願いします。

市場美緒Dr: はい。
「うつ病」の原因は、何かを失う「喪失体験」がきっかけになるとお話ししましたが、それとは別に、女性ホルモンの急激な変化も、原因のひとつと考えられているんです。

二見いすず: そうなんですか。
女性ホルモンの急激な変化といいますと・・・。

市場美緒Dr: はい。
やはり、閉経に伴う更年期で女性ホルモンが急激に変化し、うつ病につながるというケースが多いですね。

二見いすず: 更年期とうつ病って関係があるんですね。

市場美緒Dr: はい。そうなんですよ。
ですから、更年期を迎えた女性で、うつ病のような心や体の症状を感じる方で、ほかの病気の検査をしても原因が分からない場合や、更年期障害の治療を行っても改善しない場合は、「うつ病」の可能性を考えてみるといいかもしれません。

二見いすず: なるほど。
その場合の治療は、やはりホルモン治療でしょうか。

市場美緒Dr: この時期の女性は、更年期によるホルモンの変化ももちろんですが、家庭環境や社会の中でも心が不安定になる要素が多いという環境的要因もあります。
治療は、「うつ病」と同じように、環境を見つめなおして安静・休養をとることや「うつ病」の薬物療法、ホルモン治療などを、患者さんに合わせて進めていきます。

二見いすず: よくわかりました。

市場美緒Dr: また、同じく女性ホルモンの変化について、出産後の女性も、ホルモンの急激な変化で、「うつ病」がおきることがあります。
「産褥性うつ病(さんじょくせいうつ病)」、いわゆるマタニティーブルーといわれるものです。

二見いすず: そうなんですね。
女性は、体に大きな変化が起こるので、そのことが「うつ病」のきっかけになることをぜひ覚えておきたいですね。

市場美緒Dr: そうですね。
「うつ病」はしっかり治療すれば、治る可能性が高い病気であるという正しい知識をもって、問題や悩みを一人で抱え込まず、専門医へ相談してください。
そして、ぜひ治療して元気な日々を送っていただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
5週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。
お話は、市場美緒(いちばみお)ドクターでした。

市場美緒Dr: ありがとうございました。