『うつ病』 ゲスト:市場美緒ドクター



二見いすず: 今月のドクタートークは、今年の7月に鹿児島県の十島村などで見られる皆既日食現象について、知っておきたい眼のお話を、鹿児島県医師会の坂元有至(さかもとゆうし)ドクターにうかがっています。
坂元さん今週もよろしくお願いいたします。

坂元有至Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、皆既日食を観察するときに、太陽光線を肉眼で直視すると眼に障害が出る可能性があるということを伺いました。

坂元有至Dr: そうなんです。
いつも私達の身近にある太陽光線ですが、実は、とても強い光なので、直視するのは危険なんです。

二見いすず: なるほど。

坂元有至Dr: 太陽の光は、人間が明るさを感じる可視光線の外に、熱を持つ赤外線、肌を焼いてしまう紫外線などが含まれています。

二見いすず: はい。

坂元有至Dr: 太陽を肉眼で見ると、それらが直接眼に入ってきます。
そして、眼をカメラに例えた場合、フイルムの役目をする網膜の部分に、焦点が合うように強い光線が集まって影響を与え、目の奥が焼けてしまうのです。

二見いすず: なるほど。
それがやけどを引き起こす原因になると・・・。

坂元有至Dr: そうなんです。
これを医学的には「日食網膜症」と言います。

二見いすず: 「日食網膜症」。
そういった病名もあるということは、日食のときに、つい直視してしまう方も多いということなんでしょうね。

坂元有至Dr: そうなんです。
昔から日食のときに世界中で発生しています。
太陽を直接見ると、普通はまぶしくて見ていられませんが、日食の時は、がまんづよく眼を開いて見続けてしまう人が世の中にいらっしゃるようです。

二見いすず: なるほど。

坂元有至Dr: そうやって数秒間にわたり、太陽を直視しつづけてしまったことで、眼の奥に重いやけどを負ってしまうのです。
重い場合は、永続的な視力障害になってしまう場合もあるのですよ。

二見いすず: それは大変です。

坂元有至Dr: はい。
皮膚のやけどで考えると分かりやすいと思いますが、軽いやけどの場合は、治療をしていけば、皮膚が再生して治ります。
しかし、重症のやけどの場合は、皮膚の性質が変わってしまう「変性」が起こり、元に戻らなくなってしまいます。
日食網膜症も同じです。

二見いすず: よくわかりました。
実際に日食網膜症になると、痛みなどの自覚症状はあるのでしょうか。

坂元有至Dr: はい。
軽い場合ですと、しみるような痛みがあったり、眼が重くなったりします。
重症の場合は、吐き気や頭痛が起こります。

二見いすず: 吐き気や頭痛まで起こる場合もあるんですね。
日食網膜症は目の奥の症状ですし、自分では判断ができない場合も多いですよね。
強い光を肉眼で直視してしまった場合は、一度専門医を受診した方がよさそうですね。

坂元有至Dr: そうですね。
思い当たることがあったら、ぜひ早めにご相談いただきたいと思います。

二見いすず: お話は、鹿児島県医師会の坂元有至(さかもとゆうし)ドクターでした。
ありがとうございました。

坂元有至Dr: ありがとうございました。