二見いすず: | 8月に入りました。 今月のドクタートークは、3週にわたり、「熱中症」について鹿児島県医師会の吉原秀明(よしはらひであき)ドクターにうかがいます。 吉原さん、よろしくお願いいたします。 |
吉原秀明Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 暑い日が多いですが、やはりこの時期、熱中症は多くなるのでしょうか。 |
吉原秀明Dr: | はい。 熱中症は、体の体温調節が働いた結果生じる脱水症および、体温調節が十分でなくなる適応障害なので、外気温が上がると起こりやすくなります。 |
二見いすず: | なるほど。 熱中症は、どのような仕組みで起こるのでしょうか。 |
吉原秀明Dr: | はい。 体には、もともと体温を一定に保とうとする働きがあり、体温が上がると、皮膚の血流を増やして体表面から熱を放出したり、汗が蒸発するときの気化熱を利用して体温を下げようとします。 |
二見いすず: | はい。 |
吉原秀明Dr: | しかし、外の気温が体温より高いときは、皮膚からの放熱は難しくなります。 そうなると、汗が蒸発する気化熱で体温を下げようとしますが、湿度が高いと、汗がダラダラ流れるだけで、気化しないので、体温が下がらないということもあります。 |
二見いすず: | そうなんですか。 |
吉原秀明Dr: | はい。 また、体温が上がると、体の中では血管が拡張することで皮膚の血流を増加させ、放熱で体温を下げようとしますが、発汗で体の水分量が足りなくなっていると、血管の拡張が不十分になり、体温調節機能がうまくいかず、体温がさらに上がってしまいます。 |
二見いすず: | なるほど、よく分かりました。 では、熱中症になると、どんな症状が起こるのでしょうか。 |
吉原秀明Dr: | はい。 熱中症の症状としては、比較的軽いものから、意識障害になってしまう重いものまで、大きく分けて3段階あります。 |
二見いすず: | はい。 |
吉原秀明Dr: | まず、軽い熱中症では、発汗による水分不足、塩分不足が原因となって、立ちくらみ、汗が増える、筋肉がひきつれるこむら返りがおきる、足がつる、というような症状が起きます。 |
二見いすず: | はい。 |
吉原秀明Dr: | 次の段階にいきますと、脱水症状の進行で頭痛、吐き気、嘔吐、強い倦怠感を感じたりします。 また、自分では十分に水分をとったり、食べ物をとったりできなくなってきます。 |
二見いすず: | そうなんですね。 |
吉原秀明Dr: | そして、それが進みますと、40度を越える高熱が出て、意識がもうろうとしてきます。 高熱のため脳の体温調節機能も働かなくなるため、汗が出なくなって皮膚が乾いてきます。 この段階になってしまい、手遅れになると最悪の場合は、死に至ることもあります。 |
二見いすず: | えっ、そうなんですか。 熱中症で、そういった深刻な状態に陥ることもあるのですね。 よくわかりました。 次週も引き続き、「熱中症」についてうかがいます。 お話は、鹿児島県医師会の吉原秀明(よしはらひであき)ドクターでした。 ありがとうございました。 |
吉原秀明Dr: | ありがとうございました。 |