『熱中症』 ゲスト:吉原秀明ドクター



二見いすず: 今月のドクタートークは3週にわたり、「熱中症」について鹿児島県医師会の吉原秀明(よしはらひであき)ドクターにうかがいます。
吉原さん、今週もよろしくお願いいたします。

吉原秀明Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、熱中症が起こる体の仕組みと、代表的な症状についてうかがいました。
熱中症には、比較的軽いものから、意識障害に至るような重いものまで、大きく分けて3段階あるそうですね。
本日は、段階に応じた熱中症の対処法についてうかがいます。

吉原秀明Dr: はい。
まず、軽い段階ですと、立ちくらみ、こむら返り、足がつる、汗が増えるなどの症状が出ます。
この時点で、本人が自分で水分をとることができれば、涼しく風通しのいい場所で安静にして水分と塩分を補給するという対処をして様子を見てください。

二見いすず: わかりました。ほかにできることはありますか?

吉原秀明Dr: はい。
この段階では衣服をゆるめたり、通気性の悪い衣服を脱いでいただければ、十分なことが多いのです。
しかし、体温が高いと感じられる場合は、水に濡らしたタオルを腋の下や足の付け根、首にあてて体を冷やすと効果的です。
また、心配な場合は、医療機関で診察してもらうといいと思います。

二見いすず: わかりました。

吉原秀明Dr: 次の段階の状態ですが、脱水症状の進行で、頭痛、吐き気、嘔吐、強い倦怠感を感じたりします。
軽い段階と区別するためのチェックポイントは、気分が悪くなっていて自分では水分や塩分をとることができなくなっているということです。

二見いすず: なるほど。
自分では水分や塩分が補給できないというのが、第一段階と第二段階の違いですね。

吉原秀明Dr: その通りです。
熱中症の原因の一つは、体の水分不足ですが、自分で水を飲めない状態というのは、自分で脱水を解消することができないという状態なので、つまり、医療機関を受診して、点滴で対処することが必要になります。

二見いすず: なるほど。
自分で水分がとれない状態になったら、医療機関へということですね。

吉原秀明Dr: そうですね。
そのとき、飲めない状態なのに無理に周りの人が水を飲ませると、誤飲の原因になる場合もありますので、注意してください。
さらに症状が重い場合ですが、話しかけても正常な反応がなかったり、体温が高いのに皮膚が乾いた状態になったら、かなり重度の熱中症だと思われるので、至急救急車を呼んでください。

二見いすず: 意識障害が見られたら、すぐに救急車ですね。

吉原秀明Dr: はい。
多臓器不全になり、命に関わることもありますから、迅速な対処が必要です。
救急車が迎えに来るまでの時間も惜しんで、衣服の上から水をかけ扇いだり、腋の下や足の付け根、首を水や氷で冷やすなどの応急処置も大切です。

二見いすず: よくわかりました。
ぜひ覚えておきたいと思います。
貴重なお話をありがとうございました。
来週も引き続き「熱中症」について伺ってまいります。
お話は、鹿児島県医師会の吉原秀明(よしはらひであき)ドクターでした。
ありがとうございました。

吉原秀明Dr: ありがとうございました。