「アルコール依存症」 ゲスト:竹元隆洋ドクター



二見いすず: 12月に入り、忘年会シーズンもたけなわですね。
今月のドクタートークは、「アルコール依存症」について、鹿児島県医師会の竹元隆洋(たけもとたかひろ)ドクターにお話を伺います。
竹元さん、どうぞよろしくお願いいたします。

竹元隆洋Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 年末年始は何かとお酒を飲む席も多いと思います。
お酒は、人を楽しくしたり、コミュニケーションを円滑にしたりしてくれるものではありますが、反面、アルコール依存症という病気が存在していることも忘れてはならないそうですね。

竹元隆洋Dr: はい。
アルコール依存症の人のことをひと言で言いますと「飲酒行動を自分でコントロールできない人」です。
常にアルコールが体内に入っている状態が当たり前になると、アルコールが切れてくると、体が欲求してくる。
そして、「今日は飲んではいけない」と思っても、お酒をやめることができず、飲まずにいると精神的・身体的に、不快感や禁断症状が生じるような状態を言います。

二見いすず: アルコール依存症とは「飲酒行動を自分でコントロールできない人」ということなんですね。
では問題となる「アルコール依存症」と言われる方の飲み方の特徴はどのようなものでしょうか。

竹元隆洋Dr: はい。「お酒の量が増える」ということが特徴です。

二見いすず: 「お酒の量が増える」と言いますと、以前に比べて最近増えたな・・・という。

竹元隆洋Dr: そうですね。
例えば、5年前を振り返って、以前より量が増えているとわかったら、「アルコール依存症」である可能性が高いです。
量が増えているということは、自分に合った適量のアルコールだけでは、脳が酔えなくなって、「もっともっと」と要求しているということです。
しかし、肝臓のアルコール分解酵素は変わりませんから、脳が求めるままに飲んでしまった場合、自分の肝機能以上のアルコールを摂取してしまい、知らず知らずのうちに肝臓に大きな負担をかけてしまうのです。

二見いすず: なるほど・・・。
脳が求めるアルコールと、肝臓が処理できるアルコールの量は違うということなのですね。

竹元隆洋Dr: そのとおりです。
酔いにくくなったから、お酒が強くなったという方がいますが、ただ脳が麻痺して、感受性が低下して酔いにくくなっただけで、肝臓が処理できる量は変わらないのです。

二見いすず: なるほど・・・。
アルコールを分解する酵素の量は、人によって違うのですか?

竹元隆洋Dr: そうですね。
アルコール分解酵素はまったくない「ゼロ」の方から、ある程度の量が分解できる方まで、いろいろいらっしゃいます。
ですから、「飲めない」という人は、本当に飲めないので、無理にすすめることは絶対にしないでいただきたいですね。
また、人と比べて「ほかの人はもっと量を飲んでいるから自分も大丈夫」というのも間違いです。
飲まれる方は、自分の適量を知り、ある量を越えないように飲まれるのがいいでしょう。

二見いすず: よくわかりました。
本日は「アルコール依存症」についてお話を伺いました。
お話は、鹿児島県医師会の竹元隆洋(たけもとたかひろ)ドクターでした。
ありがとうございました。

竹元隆洋Dr: ありがとうございました。