二見いすず: インフルエンザについて、鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターにお話を伺っています。
最終日の今日は、インフルエンザにかかってしまったときの治療や対処についてお聞きしたいと思います。
まず、自分がインフルエンザにかかってしまったのかどうかは、どのように判断できるのでしょうか。

西順一郎Dr: はい。
医療機関などで鼻の粘膜の迅速検査を行います。ただし、症状の出はじめのころ、おおよそ12時間以内ではウイルス量が少なく、結果が正確に出ない可能性があります。
また、医師は検査ではなく、周囲の流行状況や症状からインフルエンザの診断する場合もありますので、必ずしも迅速検査が必要なわけではありません。

二見いすず: わかりました。
インフルエンザと診断された場合は、どのような治療が行われるのでしょうか。

西順一郎Dr: インフルエンザの治療は、タミフル、リレンザなどの抗インフルエンザ薬を、医師が必要と認めた場合に投与します。
また、今年は、新しく、1回の吸入だけで効果が期待できるイナビルという吸入薬も登場しました。

二見いすず: そうなんですね。
それは期待できますね。

西順一郎Dr: そうですね。
また、医療機関では、症状を緩和させる目的で、かぜ薬や解熱剤などを処方します。
子どもの解熱剤は、アセトアミノフェンという子どもに適した解熱剤を使用します。
ボルタレンなどの強い解熱剤を使用するとインフルエンザ脳症など重症化のリスクが高まると言われていますので、医師の指示に従ってください。

二見いすず: わかりました。

西順一郎Dr: でもインフルエンザは、本来は薬を飲まなくてもほとんどが自然によくなる病気なんです。
ごく軽い症状であれば無理に医療機関を受診して治療しなくても、健康な方であれば、自宅療養でなおるケースも多いと思います。

二見いすず: そうなんですね。
感染を広げないという意味では、自宅療養で自然に治すのも一つの方法ですね。

西順一郎Dr: はい。
しかし、持病がある方、妊婦さん、乳幼児、高齢の方などのハイリスク者は早めの受診が必要です。
それ以外の方でも高熱や全身のだるさが強い場合には医師に診てもらうことをお勧めします。
そして、息切れ、呼吸困難、意識障害などの重症化の兆候があったら、急変する場合もありますので、必ず医療機関で治療を受けていただきたいと思います。

二見いすず: わかりました。
では、自宅療養の期間はどのくらいでしょうか。

西順一郎Dr: ご自分の回復具合はもちろんですが、感染拡大を防ぐという意味でも、解熱後2日間は登校や出勤を控えていただきたいですね。
また、抗インフルエンザ薬を飲むと早めに熱が下がりますが、感染を広げる可能性はありますので、薬を使用してから5日間ぐらいは自宅で安静にしていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
まとめますと、今年も季節性に加えて、新型インフルエンザの流行が予測されているということです。
ぜひ早めに予防接種を受けていただき、万が一感染した場合は、ほかの人にうつらないような配慮も必要ですね。
西さん、4週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。