2011.12.3 第448回放送分『アルコールの健康被害』 ゲスト:山口幸一ドクター



二見いすず: 12月に入りました。
今月のテーマは、年末年始の忘年会や新年会で飲む機会も増えるアルコールについてお送りします。
お話は、鹿児島県医師会の山口幸一(やまぐちこういち)ドクターに伺います。
山口さん、よろしくお願いいたします。

山口幸一Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: ではまず、そもそもアルコールとは、体の中でどんな風に吸収・分解されていくものなのでしょうか。

山口幸一Dr: はい。
飲酒後のアルコールは、胃と小腸で吸収されます。

二見いすず: はい。

山口幸一Dr: アルコールの吸収は、胃と小腸で行われますが、胃は少々で、ほとんどは小腸で吸収されます。
しかも、小腸での吸収は速いと言われています。

二見いすず: なるほど。
では、胃や小腸で吸収されたアルコールは、その後、どうなるのでしょうか。

山口幸一Dr: はい。
次に、肝臓で分解されます。

二見いすず: はい。

山口幸一Dr: 肝臓には、アルコールを分解するシステムがあります。

二見いすず: はい。

山口幸一Dr: アルコールが分解されると、肝臓でアセトアルデヒドという物質になります。
アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素で酢酸に分解され、最後に、酢酸から水と炭酸ガスへ分解されていきます。

二見いすず: 肝臓の中でいくつもの段階を経て分解されていくのですね。

山口幸一Dr: そうですね。
肝臓でアセトアルデヒドを分解するのは、アルデヒド脱水素酵素が働くのですが、これが多い人と少ない人がいるんです。

二見いすず: そうですか。
もともと、アルデヒド脱水素酵素が多い人と少ない人がいる、と。

山口幸一Dr: そうです。
アルデヒドは毒性が非常に強く、二日酔いの原因物質です。
お酒が強い人、弱い人がいるといわれますが、これは、このアルデヒド脱水素酵素が遺伝的に多い人、少ない人というふうに考えられます。

二見いすず: なるほど。
お酒の強い人、弱い人というのは、もともと持っているアルデヒド脱水素酵素が多い、少ないに関係しているのですね。
これは遺伝なんですか。

山口幸一Dr: そうですね。
日本人を含むモンゴロイド系は、欧米人などのアングロサクソン系に比べて遺伝的にアルデヒド脱水素酵素が少ないといわれています。
日本人を分類すると、5%はとても少なく、アルコールを飲めない人。
40%がやや少なくてお酒に弱い人、残り50%がお酒に強い人という割合になるようです。

二見いすず: よくわかりました。
アルコールは肝臓で分解されますが、その分解途中で必要なアルデヒド脱水素酵素が遺伝的な問題で、人によって量が違うということがわかりました。
もともとアルデヒド脱水素酵素の少ない方は、そもそもアルコールを分解しづらい体質ということで、無理に飲んだり、飲ませたりすることのないように気をつけていただきたいと思います。
山口さん、お話をありがとうございました。

山口幸一Dr: ありがとうございました。