2011.12.31 第452回放送分『アルコールの健康被害』 ゲスト:山口幸一ドクター


二見いすず: 今回のテーマは、年末年始で飲む機会も増えるアルコールについてお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の山口幸一(やまぐちこういち)ドクターに伺います。
山口さん、最終日の今日もよろしくお願いいたします。

山口幸一Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、アルコール依存症についてお話を伺いました。
飲酒について、まだほかにも注意しなければならないことがありますでしょうか。

山口幸一Dr: はい。
まだ注意していただきたいことがいくつかあります。
一つは、妊娠中あるいは授乳中の母親の飲酒です。
胎児期は体が出来上がる途上にあり、乳児期にかけて爆発的に脳神経が発達する時期です、アルコールは簡単に胎盤を通過します。
つまり、胎児のアルコール濃度が母体と同じ濃度になるということです。

二見いすず: はい。

山口幸一Dr: 一方で、胎児、乳幼児は肝臓が未発達でアルコールを分解する力が弱いので、この時期に多量のアルコールにさらされると、先天的な奇形や脳細胞障害による学習障害、精神病などがかなりの率で起こります。
いわゆる胎児アルコール症候群ですね。

二見いすず: それは重大ですね。
そうすると、妊娠時、授乳期の母親がアルコールを飲むのはかなり危険ですね。

山口幸一Dr: はい。
どのくらいの量なら大丈夫という目安がありません。
お母さんの不注意で後々後悔しないためにも、1滴も飲まないというのが基本でしょう。

二見いすず: わかりました。
妊娠、授乳期の方は十分ご注意ください。
ほかにもアルコールについて注意することはありますか。

山口幸一Dr: 同じようなことが、青少年の飲酒についてもいえます。
思春期は人生で2番目に脳神経細胞が活発に活動する時期といわれています。
この時期にアルコールにさらされると、簡単にアルコール依存症になったり、精神を病むことが知られています。

二見いすず: なるほど。
乳幼児期、精神の発展途上期にある思春期など、その後の人生にとって大事な時期ですから、アルコールの問題は真剣に考えないといけませんね。
さて、最後になりましたが、アルコールにはストレス解消など、それなりに効用もありますから、上手な付き合い方も必要ですよね。

山口幸一Dr: その通りです。
今までアルコールの健康被害について主にお話してきましたが、適量の飲酒であれば、リラックス効果が期待でき、それなりにいい面も多いわけです。

二見いすず: では、飲み方の注意点などをお願いします。

山口幸一Dr: そうですね。
まず空腹でいきなり飲まないことでしょう。
また、一気飲みは、心停止、呼吸不全等により命に関わることがありますので厳に慎むべきです。

二見いすず: わかりました。
お話は、鹿児島県医師会の山口幸一(やまぐちこういち)ドクターでした。
ありがとうございました。

山口幸一Dr: ありがとうございました。