2012.7.7 第479回放送分『糖尿病』 ゲスト:鎌田哲郎ドクター



二見いすず: 7月に入りました。
今月のドクタートークは、「糖尿病」についてお話をうかがいます。
お話は、鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターです。
よろしくお願いいたします。

鎌田哲郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今回のテーマは糖尿病です。
今や、国民病とも言われている糖尿病ですが、やはり多くの方がかかっておられるのでしょうか。

鎌田哲郎Dr: はい。
最も新しい平成22年度の国際糖尿病連合の報告では、日本の成人で約1067万人が糖尿病であるされています。
これは、日本人の成人10人に1人が糖尿病という数字です。

二見いすず: そんなに多いのですね。
驚きました。
決して、人事ではありませんね。
では、あらためまして、糖尿病について、どんな病気なのか教えてください。

鎌田哲郎Dr: はい。
糖尿病では、血液の中に含まれるブドウ糖の量、つまり、血糖値が異常に高い状態が慢性的に続きます。
その結果、体のいろいろな血管や神経に障害が起こるいわゆる合併症が起こってきます。

二見いすず: 合併症には、どのようなものがありますか?

鎌田哲郎Dr: はい。
代表的なものは、眼底や腎臓の血管障害で、最終的には失明や腎不全から血液透析につながることもあります。

二見いすず: 失明、腎不全ですか…。

鎌田哲郎Dr: はい。
ほかにも、心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化のリスクが健常な人より約3倍から4倍も高まります。
また末梢の神経障害から最終的に足の切断につながる場合もあります。

二見いすず: それは、大変なことですね。

鎌田哲郎Dr: そうなんです。
しかしその一方で、平成19年の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が疑われる人の約4割が治療を受けていないと報告されています。

二見いすず: そんなに重大な病気なのに、治療をしていない方が4割もいるとは、とても驚きました。
それは何故なんですか?

鎌田哲郎Dr: それは、糖尿病やその合併症の特徴の一つとして、「自覚症状を感じにくい」という点があるからだと思います。
つまり自分では糖尿病にかかっていることに気づきにくく、また自覚症状が乏しいために、治療の必要性を感じにくいのだと思います。
しかし、自覚症状がなくても血管や神経の障害は少しずつ進行していきます。
そして、はっきりとした症状が出たときには、もうすでに元には戻れない状況になってしまっている場合も多いのです。

二見いすず: それは大変なことですね。
ぜひ、糖尿病について詳しく知って、予防や早期治療を実現させて、症状を重くさせないように、気をつけなければなりませんね。
では、次週から、糖尿病の具体的な原因、治療、予防について詳しくお話を伺っていきたいと思います。
鎌田さん、本日はありがとうございました。

鎌田哲郎Dr: ありがとうございました。