2012.7.28 第482回放送分『糖尿病』 ゲスト:鎌田哲郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「糖尿病」についてお話をうかがっています。
お話は、鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターです。
鎌田さん、今週もよろしくお願いいたします。

鎌田哲郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今週は糖尿病の治療についてお願いいたします。

鎌田哲郎Dr: はい。
まず、糖尿病の治療の目的は、血糖値を正常に保ち、血管や神経を障害から守ることにあります。

二見いすず: はい。
では具体的な治療法はどのようなものがあるのでしょうか。

鎌田哲郎Dr: 食事や運動による治療がまず基本ですが、必要があれば、内服薬やインスリン注射を行います。
最近、新しい薬物療法の一つとしてインクレチン関係のお薬が臨床使用されるようになっており、その成果が期待されています。

二見いすず: はい。
食事療法、運動療法、そしてお薬や注射ですね。

鎌田哲郎Dr: そうですね。
治療について、知っておいていただきたいことは、現在の治療では、残念ながら糖尿病自体を治すことは出来ないということです。
しかし、血糖値のコントロールを続けていくことで、やっかいな合併症を防ぐことは充分に可能です。
状態がよくなったからといって治療を中断するのではなく、継続して治療していくことがとても重要なのです。

二見いすず: なるほど。

鎌田哲郎Dr: 糖尿病治療について、私たちはよく患者さんたちへ「糖尿病の主治医はあなたです」とお伝えしています。
つまり、糖尿病の治療では、自分で日常生活の中で実践しなければならないことが多く、その結果が治療に大きく影響するのです。

二見いすず: なるほど。
糖尿病は自己管理がとても大切なのですね。

鎌田哲郎Dr: そうですね。
糖尿病は、痛みなどの自覚症状がほとんどない病気だからこそ、患者さんご自身が糖尿病の怖さを理解し、実践することがとても大切なんです。
そのために、糖尿病教育入院というプログラムがあり、いろいろな医療施設で実施されています。
これは、正しく病気について理解し、食事や運動について学び、ご自分の健康管理のエキスパートになっていただくことを目的としています。

二見いすず: なるほど。

鎌田哲郎Dr: また、現在、糖尿病対策として、鹿児島市では「糖尿病に関する病診連携」が進められています。
皆様のかかりつけの先生と糖尿病専門医が連携をとることで、多くの患者さんにより良い糖尿病の治療をお届けすることができるようになると思います。

二見いすず: 糖尿病治療がより広がるというのは、いいことだと思います。

鎌田哲郎Dr: そうですね。
最後にまとめますと、まず、予防するために食事や運動など生活習慣の改善を心がけていただくこと、そして、糖尿病が自覚症状の少ない病気であることを知り、定期的に検診を受けること、また糖尿病の診断を受けたら、病気を正しく理解し、適切な治療を主治医の先生と一緒に継続することをお願いしたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
4週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。
お話は県医師会の鎌田哲郎ドクターでした。

鎌田哲郎Dr: ありがとうございました。