2013.3.2 第513回放送分『糖尿病』 ゲスト:鎌田哲郎ドクター



二見いすず: 3月に入りました。
今月のドクタートークは、「糖尿病」についてお話をうかがいます。
お話は、鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターです。
よろしくお願いいたします。

鎌田哲郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今回のテーマである糖尿病ですが、今、日本では多くの方がかかっておられるそうですね。

鎌田哲郎Dr: そうですね。
平成22年度の国際糖尿病連合の報告では、日本の成人で約1067万人が糖尿病とされています。
これは、日本人の成人10人に1人は糖尿病という数字です。

二見いすず: 10人に1人とは、もはや国民病と言っても過言ではないですね。
では、あらためて、糖尿病について教えてください。

鎌田哲郎Dr: はい。
糖尿病になりますと、血糖値が異常に高い状態が慢性的に続きます。
その結果、長い間かけて体のいろいろな血管や神経に障害が起こり、いわゆる合併症を引き起こしてしまいます。

二見いすず: なるほど。
では、合併症にはどのようなものがあるのでしょうか?

鎌田哲郎Dr: はい。
代表的なものは、眼底や腎臓の血管障害です。
状態が進行すると、最終的には失明や腎不全から血液透析につながることもあります。

二見いすず: 失明、腎不全ですか…。
怖いですね。

鎌田哲郎Dr: そうですね。
ほかにも、心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化のリスクが、健常な人より約3倍から4倍も高まります。
また末梢の神経障害から最終的に足の切断につながる場合もあります。

二見いすず: それは、大変なことですね。

鎌田哲郎Dr: そうなんです。
しかしその一方で、平成19年の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が疑われる人の約4割が治療を受けず、糖尿病を放置しているという報告もあります。

二見いすず: えっ、そんなに重大な病気なのに、治療をしていない方が4割もいるのですか。

鎌田哲郎Dr: そうなんです。
糖尿病やその合併症は、「自覚症状を感じにくい」という特徴があります。
つまり自分では糖尿病にかかっていることに気づきにくく、また自覚症状が乏しいために、治療の必要性を感じにくいのだと思います。

二見いすず: なるほど。

鎌田哲郎Dr: しかし、自覚症状がなくても、糖尿病によって血管や神経の障害は少しずつ進行していきます。
そして、はっきりとした自覚症状が出たときには、もうかなり進行した状態になってしまっているケースが多いのです。

二見いすず: なるほど、よくわかりました。
ぜひ、糖尿病について詳しく知って、予防や早期発見につなげていただきたいと思います。
では、次週から、糖尿病の具体的な原因、治療、予防について詳しくお話を伺っていきたいと思います。
鎌田さん、本日はありがとうございました。

鎌田哲郎Dr: ありがとうございました。