2013.4.13 第519回放送分『感染性胃腸炎』 ゲスト:伊地知修ドクター



二見いすず: 今月のドクタートークは、「感染性胃腸炎」についてお話をうかがっています。
お話は、鹿児島県医師会の伊地知修(いぢちおさむ)ドクターです。
伊地知さん、よろしくお願いいたします。

伊地知修Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などにより、急性の胃腸炎症状をひきおこす感染症だとうかがいました。
そして、ウイルス性の急性胃腸炎は、いわゆる「おなかにくる風邪」で、代表的なノロウイルスは、下痢と嘔吐の症状があるとのことでした。
今週は、ノロウイルスについてさらに詳しくお願いします。

伊地知修Dr: はい。
ノロウイルスは、感染から12時間から48時間と比較的短時間で発症します。
下痢だけでなく嘔吐も起こるので、嘔吐物が適切に処理・消毒されないと、ウイルスがホコリと共に空気中に舞い上がり、感染が拡大することがあります。

二見いすず: なるほど。
だからこそ、ノロウイルスが、学校や病院などで集団感染が起こってしまうことがあるのですね。

伊地知修Dr: その通りです。
また、ノロウイルスの特徴は、消毒薬に対する抵抗力が強いことです。
ノロウイルスは、アルコールや高温、乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きることができる厄介なウイルスです。

二見いすず: そうなんですか。

伊地知修Dr: そうなんです。
さらにノロウイルスは、一度かかっても何度も感染することも特徴です。
ノロウイルスには多数の遺伝子型が存在するため、同じ人が複数の違った型に感染することがあります。

二見いすず: 大変やっかいですね。

伊地知修Dr: そうですね。
ノロウイルスの感染は、ほとんどが口から体内に入り感染します。
たとえば、感染者のウイルスが大量に含まれる便や嘔吐物などから直接または間接的に感染するケースや、調理などを行う人が感染しており、その人を介して汚染した食品を食べた場合、また、ウイルスに汚染された貝類、特に二枚貝を生あるいは十分に加熱しないで食べた場合などがあります。

二見いすず: よくわかりました。
ではどうしたら感染を防ぐことができますか?

伊地知修Dr: そうですね。
これは、ノロウイルスに限らず感染性胃腸炎全体に言えることですが、予防の基本は、手洗い・うがいの徹底、特に調理前、食前、トイレの後や下痢をしている乳幼児や高齢者の世話をした後には石鹸と流水でしっかり手洗いをしましょう。

二見いすず: はい。

伊地知修Dr: また、食品は十分に加熱しましょう。
食品の中心まで十分に熱を通すようにしましょう。
中心温度85度を1分間が目安です。

二見いすず: なるほど。
たとえば、ハンバーグを焼くとき、中心温度85度を1分保つ、ということですね。

伊地知修Dr: そうですね。
また、調理器具はよく洗い、漂白剤などで殺菌しましょう。

二見いすず: よくわかりました。

伊地知修Dr: そして、とても大切なのが、感染者の汚物の処理です。
衣類や部屋の床や壁などに細かいウイルスが残っている場合があります。
しっかりふきとって、薄めた漂白剤で消毒すると共に、衣類の洗濯は分けて行うなど注意してください。

二見いすず: よくわかりました。
来週も引き続き、感染性胃腸炎について詳しく伺います。
ありがとうございました。

伊地知修Dr: ありがとうございました。