2013.4.27 第521回放送分『感染性胃腸炎』 ゲスト:伊地知修ドクター



二見いすず: ドクタートークのテーマは「感染性胃腸炎」です。
お話は、鹿児島県医師会の伊地知修(いぢちおさむ)ドクターです。
伊地知さん、よろしくお願いいたします。

伊地知修Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、感染性胃腸炎の中でも、重症化する可能性のあるロタウイルスについて伺いました。
今週は、そのほかのウイルスについてお願いします。

伊地知修Dr: はい。
ウイルス性急性胃腸炎の代表的なものには、ノロウイルス、ロタウイルスのほかに、腸管アデノウイルスがあります。

二見いすず: どのようなものなのでしょうか。

伊地知修Dr: 腸管アデノウイルスは、ノロやロタウイルスと違い、流行の時期はなく、通年性で発症します。
3歳以下が主で、感染から発症まで7日間ほどかかります。
下痢が主な症状で、発熱、嘔吐、咳、鼻水、のどの痛みなどを伴うことも多いです。

二見いすず: どんな症状でしょうか。

伊地知修Dr: はい。
アデノウイルスは、嘔吐や下痢などの消化管の症状以外に、全身に感染することもあるので、咽頭痛、眼球充血などのプール熱の症状、咳などの肺炎の症状、血尿などの出血性膀胱炎の症状を伴うこともあります。

二見いすず: 感染は、やはりノロやロタウイルスと同じで、口から体内に入り感染するのでしょうか。

伊地知修Dr: そうですね。
ですから、まず予防は、手洗い・うがいを徹底してください。
また、感染者が身近にいる場合は、汚物の適切な処理などを注意してください。

二見いすず: わかりました。
これまでお話いただいた、ウイルス性急性胃腸炎について、感染してしまったら、どんな治療が行われるのでしょうか。

伊地知修Dr: はい。
実は、これらのウイルスに直接作用する抗ウイルス剤は現在のところありません。
そこで、脱水症状を防ぐ対症療法が行われます。

二見いすず: なるほど。

伊地知修Dr: ご自宅で脱水症状を改善しようとする場合は、ただの水ではなく、経口補水液をドラッグストアなどで購入して与えてください。

二見いすず: わかりました。

伊地知修Dr: ただし、吐き気や嘔吐が強い場合、意識障害がある場合、6ヶ月未満の乳児などは、点滴が必要なケースもありますので、医療機関へご相談ください。

二見いすず: 今回、感染性胃腸炎は、さまざまなウイルスや細菌が原因でおこることがわかりました。
口から体に入って感染することも多いことから、手洗い・うがいの徹底、食べ物、特に生ものに注意することや、調理器具を清潔にすることなど気をつけたいと思います。
4回にわたり、感染性胃腸炎について、鹿児島県医師会の伊地知修(いぢちおさむ)ドクターにお話を伺いました。
貴重なお話をありがとうございました。

伊地知修Dr: ありがとうございました。