2014.10.18 第598回放送分 『予防接種・ワクチン』 ゲスト:西順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「予防接種・ワクチン」について、鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターにお話を伺います。
西さん、今週もよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、今月から定期接種になった水痘ワクチンについてお話をお伺いいたしました。
今週は同じくこの10月から定期接種になった高齢者の肺炎球菌ワクチンについて教えてください。

西順一郎Dr: 肺炎球菌は、血液の中に菌が入って熱を出す菌血症や脳をとりまく髄膜に菌が侵入して起こる髄膜炎の原因になります。
高齢者では死亡することもある重症の病気です。

二見いすず: 大変心配な病気なんですね。

西順一郎Dr: 肺炎球菌には94種類の型があり、今回、定期接種となった肺炎球菌ワクチンは、その中の23種類に対して効果があります。
この23種類の型は、現在、成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の約7割を占めています。

二見いすず: それでは、高齢者がよくかかる肺炎にも有効でしょうか。

西順一郎Dr: ワクチンに含まれている23種類の型の肺炎球菌で起こる肺炎には効果がある可能性があります。
ただ肺炎は肺炎球菌以外にもたくさんの病原体によって起こりますので、肺炎のすべてに効果があるわけではありません。

二見いすず: 分かりました。
今回定期接種の対象となる年齢を教えてください。

西順一郎Dr: 平成26年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方と、101歳以上の方です。
それ以外の年齢の方も来年度以降、順次受けられますが、任意接種として早めに受けることもできます。

二見いすず: なるほど。
早めに受けていただきたいですね。

西順一郎Dr: また、60歳から65歳未満で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に日常生活に困る程度の障害のある方なども定期接種の対象となりますので詳しくは、かかりつけ医にお問い合わせください。

二見いすず: 過去に肺炎になったり、肺炎球菌感染症にかかった人も定期接種の対象になるのでしょうか。

西順一郎Dr: 肺炎はさまざまな原因で起こり、また肺炎球菌には多数の型がありますので、過去に肺炎や肺炎球菌感染症にかかった人も定期接種の対象になります。

二見いすず: 予防接種と言いますと、副反応についても少し気になるところなのですが…。

西順一郎Dr: 肺炎球菌ワクチンでは、注射部位の腫れはよく見られますが、高齢者では発熱はまれです。
重症の副反応はほとんど見られませんので、安心して接種していただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
今週は肺炎球菌ワクチンについて伺いました。
お話は鹿児島県医師会 西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。
西さん、ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。