2015.1.31 第613回放送分 『うつ病』 ゲスト:中村雅之ドクター


二見いすず: ドクタートークは、「うつ病」についてお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の中村雅之(なかむらまさゆき)ドクターです。
中村さん、今週もよろしくお願いいたします。

中村雅之Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: これまで4週にわたり、うつ病の症状、診断、治療についてうかがってまいりましたが、最近気になるトピックスなどはありますでしょうか。

中村雅之Dr: はい。
長引く不況や労働環境・社会構造の変化もあって、国内のうつ病患者は増加しているだけではなく、その病態も多様化しています。

二見いすず: 最近、「新型うつ」という言葉を耳にすることがあります。

中村雅之Dr: 「新型うつ」とは正式な病名ではないのですが、従来のうつ病とは異なる新しいタイプのうつ病が増えています。

二見いすず: 新しいタイプのうつ病というのはどのようなものなのでしょうか。

中村雅之Dr: 従来のうつ病は、自分を責める傾向があるのに対して、新しいタイプのうつ病は、自分がこういう状態になったのは、今の会社が悪いとか社会が悪いといった世間や他人を責める傾向があります。

二見いすず: そうなんですね。

中村雅之Dr: また、うつ病の典型的な身体症状として、不眠、食欲低下があげられますが、過剰に眠る、食べ過ぎるといった相反する症状が見られることもあります。

二見いすず: 眠り過ぎるとか食べ過ぎるといううつ病もあるのですね。

中村雅之Dr: はい。
こういった症状は20代から30代の若者に多いとされていますが、診断が難しく、治療も一筋縄ではいかないケースが多いのです。

二見いすず: 一見したところ、うつ病とは気付かれにくいかもしれませんね。

中村雅之Dr: はい。
他にも抑うつ気分などの精神症状が目立たず、身体的症状が前面にあらわれる「仮面うつ」と呼ばれるものもあります。

二見いすず: 体の不調を感じて病院に行っても原因がわからない場合は、うつ病の可能性もあるということですね。

中村雅之Dr: はい。
その通りです。
抗うつ薬を飲んだら、身体症状がすっかりおさまったというケースもあります。

二見いすず: 早期発見、早期治療で命を守るためにも、やはり気になる症状があれば、早めに医療機関を受診したいものです。

中村雅之Dr: うつ病はきちんと治療すれば、完治する可能性も高い病気です。
ご本人はもちろん、ご家族向けの相談窓口を設けている機関もありますので、お一人で悩まずにまずはご相談してみてください。

二見いすず: よく分かりました。
気になる症状があれば、ご本人はもちろん、ご家族の方も一人で悩まずにぜひ相談してみてください。
5週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。
鹿児島県医師会 中村雅之(なかむらまさゆき)ドクターでした。

中村雅之Dr: ありがとうございました。