2015.2.7 第614回放送分 『鼻・喉・首のがん』 ゲスト:花牟禮 豊ドクター



二見いすず: 2月になりました。
今月のドクタートークは、「鼻・喉・首のがん」について鹿児島県医師会の花牟禮豊(はなむれゆたか)ドクターにお話をお伺いいたします。
花牟禮さん、よろしくお願いいたします。

花牟禮 豊Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 「鼻・喉・首のがん」と言いますと、少し耳慣れない病気のような気がするのですが、耳鼻咽喉科の領域のがんということでしょうか。

花牟禮 豊Dr: はい。
「鼻・喉・首のがん」は専門的には頭頸部がんといいまして、脳と眼球を除いた首から上のがん、つまり顔面から頸部にかけて生じる悪性腫瘍を指します。

二見いすず: 鼻・喉・首のがんは、専門的には頭頸部がんといわれるのですね。
では、具体的にはどのような種類があるのでしょうか。

花牟禮 豊Dr: 鼻、喉、首の領域でいいますと、上顎洞がんなどの鼻副鼻腔がん、咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がん、唾液腺がんなどがあります。

二見いすず: ひとくちに頭頸部のがんといっても、本当にたくさんの種類があるのですね。
今回はまず鼻のがんについてお話いただけますでしょうか。

花牟禮 豊Dr: はい。
鼻のがんは、正式には鼻副鼻腔がんといい、50代から60代に多く見られる病気です。
鼻のがんで最も多いのが、上顎洞がんです。
上顎洞とは鼻の横奥にある大きな空洞で、その粘膜にがんができるのです。

二見いすず: 上顎洞がんになると、どのような症状があらわれるのでしょうか。

花牟禮 豊Dr: 上顎洞がんは初期症状はほとんどありません。
しかし、腫瘍が大きくなってくると、鼻づまりや血や膿の交じった鼻水が出る、ほっぺたの腫れ、歯の痛み、眼球が飛び出してくるなどの症状が見られるようになります。

二見いすず: 鼻づまりや鼻水は、風邪や花粉症の症状とも似ていますね。

花牟禮 豊Dr: 上顎洞がんは、左右どちらか一方の粘膜にできることが多いため、鼻づまりもどちらか一方だけに起こるという特徴があります。
これらの症状は慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症でも同じように生じます。
鼻づまりや鼻水の症状が続いている方はぜひ耳鼻咽喉科で適切な診察を受けるようにしてください。

二見いすず: 慢性副鼻腔炎は上顎洞がんと同じような症状があるため、そのままにしておかず、耳鼻咽喉科で診察を受けることが大切だということですね。

花牟禮 豊Dr: はい。
そのとおりです。
上顎洞がんをはじめとする鼻・喉・首のがんは、聴覚、嗅覚、味覚、平衡感覚など日常生活を営む上で重要な感覚や、言語、発声、咀嚼、嚥下などの生命の維持とコミュニケーションに欠かせない機能を失いかねない病気です。

二見いすず: 生命の維持とコミュニケーションに重要な機能を守るためにも、早期発見・早期治療がより大切だということですね。
よく分かりました。
来週は喉のがんについて詳しくうかがいます。
お話は鹿児島県医師会の花牟禮豊(はなむれゆたか)ドクターでした。
ありがとうございました。

花牟禮 豊Dr: ありがとうございました。