2015.2.21 第616回放送分 『鼻・喉・首のがん』 ゲスト:花牟禮 豊ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「鼻・喉・首のがん」について鹿児島県医師会の花牟禮豊(はなむれゆたか)ドクターにお話を伺ってまいります。
花牟禮さん、今週もよろしくお願いいたします。

花牟禮 豊Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は喉のがんの中でも咽頭がんについてお話を伺いましたが、今週は喉頭がんについてお願いいたします。

花牟禮 豊Dr: はい。
喉頭がんは、頭頸部領域で最も多い悪性腫瘍で、日本では年間に10万人中2.8人程度が発症するとされています。
喉頭がんの発症には喫煙が強く関与しており、喫煙による喉頭がんの発生率は、非喫煙者の32倍とされています。

二見いすず: 喫煙による喉頭がんのリスクは、非常に高いということですね。

花牟禮 豊Dr: はい。
喫煙が原因のがんは、肺がんが一般的に知られていますが、喉頭がんの喫煙によるリスクは、肺がん以上に高いと考えられています。
また、飲酒や口腔内の不衛生なども発症の原因になるとされています。

二見いすず: 喉頭がんになると、どのような症状があらわれるのでしょうか。

花牟禮 豊Dr: 喉頭がんの6割以上は声帯の部分にできる声門がんです。
声門がんは、早期から声のかすれがあらわれるため、初期段階で耳鼻咽喉科を受診し、発見される場合が多いです。

二見いすず: それでは、喉頭がんと診断された場合は、どのような治療が行われるのでしょうか。

花牟禮 豊Dr: 喉頭がんの治療は放射線療法と手術、抗がん剤による化学療法を併用して行います。
咽頭がんの場合も同様に、放射線療法と手術、化学療法を併用するのが一般的です。

二見いすず: 咽頭がんや喉頭がんについて、他にも気をつけておきたいことはありますでしょうか。

花牟禮 豊Dr: 喉頭がんや咽頭がんは、喫煙や過度の飲酒が発がん要因であることから、同じ頭頸部および食道、肺などの二次がんや重複がんの危険性が高いことも特徴です。

二見いすず: 喉頭がん、咽頭がんと、食道がん、肺がんなどが重複して見つかる場合もあるのでしょうか。

花牟禮 豊Dr: はい。
特に中咽頭がん、下咽頭がんは、食道がんを重複することが多いです。
患者さんの中には人間ドックで胃カメラの検査を受けた時に、たまたま異常が見つかり、専門医を紹介されたという方もいらっしゃいます。

二見いすず: 通常の健康診断や人間ドックだけでは、見つからないケースもあるのでしょうか。

花牟禮 豊Dr: 喉や鼻のがんは、粘膜にできるものが多いので、診断には専門医による内視鏡検査が欠かせません。
気になる症状がなくても、ヘビースモーカーの方や飲酒量が多い方は、一度耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

二見いすず: 専門医による診断が欠かせないからこそ、かかりつけの耳鼻咽喉科をもっておくことが大切だと思います。
来週は首のがんについてうかがってまいります。
お話は鹿児島県医師会の花牟禮豊(はなむれゆたか)ドクターでした。
ありがとうございました。

花牟禮 豊Dr: ありがとうございました。