2015.4.25 第625回放送分 『大腸がん』 ゲスト:中馬 豊ドクター


二見いすず: ドクタートークは「大腸がん」について鹿児島県医師会の中馬豊(ちゅうまんゆたか)ドクターにお話を伺ってまいります。
中馬さん、よろしくお願いいたします。

中馬 豊Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は大腸がんの治療の中でも、内視鏡治療と手術による外科治療についてお伺いいたしましたが、今週は放射線治療と化学療法についてお願いしたいと思います。
まず放射線治療についてお話いただけますか。

中馬 豊Dr: 大腸がんの放射線治療は、切除可能な直腸がんの場合は、手術前後の補助治療として、がんのサイズの縮小、肛門の温存や、骨盤内での再発の抑制などを目的として行われます。

二見いすず: はい。
わかりました。

中馬 豊Dr: また一方で、手術による切除が難しい大腸がんの痛みや出血などの症状を緩和する目的でも放射線治療が用いられる場合があります。

二見いすず: よく分かりました。
では、化学療法とはどのようなものなのでしょうか。

中馬 豊Dr: 大腸がんの根本的治療の原則は、手術による外科治療でがんを完全に取り切ることです。
しかし、手術で目に見えるがんを完全に取り切れた場合でも、目に見えない小さながん細胞が体内に残っている可能性があります。

二見いすず: なるほど。
再発の原因となる小さながん細胞を抑制するために、化学療法を行うのですね。

中馬 豊Dr: はい、おっしゃる通りです。
再発をできる限り防ぐために、手術後に抗がん剤を使用する治療を術後補助化学療法と言います。

二見いすず: 再発を防ぐという目的以外でも、大腸がんの治療として化学療法が用いられるケースはあるのでしょうか。

中馬 豊Dr: 手術で取り切ることが困難な進行がんや再発がんに対しては、がんが進行するスピードを抑え、延命することを目的として化学療法が行われます。

二見いすず: 手術が受けられない場合でも、抗がん剤による化学療法は受けられるということですね。

中馬 豊Dr: ここ10年で抗がん剤の治療成績は飛躍的に向上しています。
最近では、より効果の高い抗がん剤の開発と、副作用対策の進歩により、日常生活を送りながら外来通院で治療を受ける患者さんも多くなりました。

二見いすず: 大腸がんの治療の選択肢はますます広がっているのですね。

中馬 豊Dr: 大腸がんは早期の状態で見つかれば、手術で取り除くことによって治る可能性の高いがんです。
進行した状態でも、手術・薬物療法によって完治あるいは生存期間を長くできる可能性があります。
一人で悩まずに、専門病院によく相談されて、前向きに対応していただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
早期発見、早期治療のために、まずは年一回の大腸がん検診を習慣にすることが大切ですね。
4週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。
鹿児島県医師会の中馬豊(ちゅうまんゆたか)ドクターでした。

中馬 豊Dr: ありがとうございました。