2015.9.12 第645回放送分 『小児外科』 ゲスト:家入 里志ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「小児外科」について、鹿児島県医師会の家入里志(いえいりさとし)ドクターにお話を伺っております。
家入さん、今週もよろしくお願いいたします。

家入里志Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 前回、小児外科とは、0歳から16歳未満の子どもさんを対象として、手術を必要とする外科的な疾患を治療する診療科であるとお伺いいたしました。

家入里志Dr: はい。
小児期はさらに新生児期、乳児期、幼児期、学童期、思春期に分けられます。
それぞれにおいて治療対象になる疾患が異なることが大きな特徴となります。

二見いすず: そうなんですね。
それでは今週は新生児期における疾患や治療について、詳しく教えていただけますか。

家入里志Dr: 生後30日までの新生児期の治療としては、やはり先天性の形態異常や臓器が完全に形成されていないことに対する治療がほとんどとなります。

二見いすず: それは具体的にどんな病気を治療されるのですか?

家入里志Dr: 例えば先天性食道閉鎖症という病気は、食道がふさがっていたり、断裂している状態でありますので、母乳やミルクを飲むことができません。
新生児期の赤ちゃんはミルクや母乳を飲んで大きくなることが非常に大切なことになりますので、生後1日から2日のうちに食道をつなぐ手術を行います。このように新生児期の病気は、生まれて数日のうちに手術を必要とする先天性疾患が多いのが特徴です。

二見いすず: そうなんですね。
新生児期の先天性疾患は、どのようにして発見されるのでしょうか。

家入里志Dr: 出産直後に産婦人科の医師や看護師、助産師が発見するケースもありますし、現在は機器が発達していますので、妊娠期の超音波検査によって、生まれてすぐに手術が必要な病気が見つかる場合もあります。

二見いすず: なるほど。産婦人科の超音波検査は、赤ちゃんの病気の発見にも
有効なのですね。

家入里志Dr: そうですね。
妊娠中の段階で手術が必要な病気が判明した場合は、産婦人科医と小児外科医が連携して赤ちゃんの発育を注意深く見守ります。
このように生まれる前から治療計画を立てることで、母子ともに安全な分娩が可能になりますし、赤ちゃんはリスクの少ない手術を受けることが出来ます。

二見いすず: 先天性疾患は、早期発見・早期治療が大切なのですね。

家入里志Dr: 小児外科では、生まれてすぐの赤ちゃんでも内視鏡手術がいま可能となっています。
成長に伴って、体に変形をきたすことがないよう、手術法や治療法を工夫しておりますので、安心して手術を受けていただきたいと思っております。

二見いすず: よく分かりました。
来週も小児外科についてお話を伺ってまいります。
お話は、鹿児島県医師会の家入里志(いえいりさとし)ドクターでした。
どうもありがとうございました。

家入里志Dr: ありがとうございました。