2015.9.19 第646回放送分 『小児外科』 ゲスト:家入 里志ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「小児外科」について、鹿児島県医師会の家入里志(いえいりさとし)ドクターにお話を伺っております。
家入さん、今週もよろしくお願いいたします。

家入里志Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は小児外科の領域の中でも生後30日までの新生児期について伺いました。
今週は乳児期、幼児期の疾患についてお話いただけますか。

家入里志Dr: はい。
まず1歳未満の乳児期ですが、この時期に手術を必要とする病気としては、胆汁が流れなくなり、黄疸などの症状が出る胆道閉鎖症や、鼠径部が腫れる鼠径ヘルニアなどがあります。

二見いすず: 乳児期の病気に何らかのサインはあるのでしょうか。

家入里志Dr: ミルクを飲んでも吐いてしまう、便に異常がある、泣きやまないなどの症状が続く場合は、重篤な病気が隠れているケースがあります。
また、乳幼児検診で病気が発見されることもありますので、お子さんがいらっしゃる方は決められた時期にきちんと検診を受けていただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
では、次に幼児期ならではの疾患はいかがでしょうか。

家入里志Dr: 1歳以降から小学生未満の幼児期は、乳児期の病気に加えまして、事故による内臓の損傷やケガなどに注意が必要です。
外傷がない場合は、親御さんも見逃してしまいがちですが、高いところから落ちてお腹を打ったり、あるいは固いものにお腹をぶつけた場合は、念のため医療機関を受診していただきたいと思います。

二見いすず: ほかにも、注意しておきたい病気はありますか。

家入里志Dr: 早いお子さんだと乳児期から小児がんを発症いたします。
肝臓、副腎、腎臓のいずれかの腫瘤が最も多いですので、お腹がパンパンに張るのが特徴になります。
小児がんは、成人のがんにも増して抗がん剤がよく効きます。
そこで、まずは化学療法で腫瘍を小さくしてから安全性を高めたうえで、我々は手術を行うケースが多いです。

二見いすず: 小児がんには抗がん剤が非常によく効くといういまのお話でしたが、副作用の心配はないのでしょうか。

家入里志Dr: 乳幼児期に抗がん剤治療を行う場合は、感染症などを防ぐため、管理された病室・無菌室で治療を行います。
また、生殖機能などを失うことがないよう、薬の量を調整したり、治療を優先する場合はあらかじめ卵子や精子を保存しておくこともあります。

二見いすず: そうなんですね。
小児外科では将来の生活の質までも考慮した治療が行われているということですか。

家入里志Dr: そうですね。
子どもたちが治療後の長い人生をまっとうできるように、なるべく機能を温存して、日常生活、学校生活、そして社会生活を営み、次の世代を生み出せるようにすることが、我々の使命だと考えています。

二見いすず: よく分かりました。
お話は、鹿児島県医師会の家入里志(いえいりさとし)ドクターでした。
どうもありがとうございました。

家入里志Dr: ありがとうございました。