2015.12.19 第659回放送分 『中耳炎』 ゲスト:牛飼 雅人ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「中耳炎」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の牛飼雅人(うしかいまさと)ドクターです。
牛飼さん、よろしくお願いいたします。

牛飼雅人Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は生後6ヵ月から6歳ぐらいのお子さんに多いという急性中耳炎について詳しくお話をお伺いいたしました。
今週は急性中耳炎が進行してしまったケースについてお話いただけますか。

牛飼雅人Dr: はい。
急性中耳炎から移行する病気としては、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)があげられます。
これは喉の炎症などが原因で耳管が詰まり、滲出液が鼓膜の内側にたまって起こります。
滲出性中耳炎は、1歳から6歳ぐらいのお子さんに多く見られ、鼻の出口近くにあるアデノイドが肥大するアデノイド増殖症(ぞうしょくしょう)や、俗に蓄膿症と呼ばれる副鼻腔炎があるとかかりやすくなります。

二見いすず: 滲出性中耳炎になると、どのような症状が出るのでしょうか。

牛飼雅人Dr: 痛みはほとんどありませんが、耳が詰まったような感じがしたり、難聴の症状が出ます。
テレビに近づいたり、音を大きくする、名前を呼んでも振り返らない、聞き返しが多いなどの症状が見られる場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。

二見いすず: テレビに近づいたり、音を大きくしたり、名前を呼んでも振り返らない、あるいは聞き返しが多いなどの症状がお子さんに見られる場合は、耳鼻咽喉科を受診していただきたいということですね。
では、滲出性中耳炎になると、どのような治療を受けるのでしょうか。

牛飼雅人Dr: 軽症であればまずお薬による治療を行います。
それでもよくならない場合は、鼓膜の切開により滲出液を排出します。症状を繰り返す場合は、鼓膜を切開して換気チューブを入れ、水がたまらないようにします。
また、鼻や喉の病気がある場合は、並行してその治療を行います。
滲出性中耳炎の多くは10歳頃までに治癒しますが、中には10歳を過ぎても治らずに重症化する場合があるので注意が必要です。

二見いすず: わかりました。
滲出性中耳炎は完治するまでしっかりと治療を受けることが大切だということですね。

牛飼雅人Dr: お子さんが中耳炎になると、耳の後ろにある乳突蜂巣(にゅうとつほうそう)という器官の発育が悪くなってしまいます。
中耳炎を繰り返していると、中耳を換気する力が弱くなり、結果的に鼓膜に穴があきやすくなります。
このように急性中耳炎や滲出性中耳炎が治りきらないまま、慢性化した状態を慢性中耳炎といいます。

二見いすず: 慢性中耳炎になると、どのような症状が見られるのでしょうか。

牛飼雅人Dr: 成人に多い慢性中耳炎は、痛みはほとんどなく、反復性の耳だれや持続性の難聴といった症状が主となります。
耳だれを繰り返す場合には、鼓膜の穴をふさぐ手術が必要になることもあります。

二見いすず: よく分かりました。
中耳炎は、未治療のまま放っておいたり、完治しないままにしておくと、慢性化するケースがあるそうです。
気になることがありましたら、最寄りの耳鼻咽喉科を受診されてください。
お話は鹿児島県医師会の牛飼雅人(うしかいまさと)ドクターでした。
ありがとうございました。

牛飼雅人Dr: ありがとうございました。