2016.2.13 第667回放送分 『学校保健』 ゲスト:鹿島 直子ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「学校保健」について鹿児島県医師会の鹿島直子(かしまなおこ)ドクターにお話を伺ってまいります。
鹿島さん、今週もよろしくお願いいたします。

鹿島直子Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今週は最近増えているという小児・子どものアレルギー疾患と学校生活での配慮についてお話いただけるということですね。

鹿島直子Dr: 小児のアレルギー疾患はこの30年で劇的に増加しています。
この10年で喘息、アトピー性皮膚炎にかかる子どもは適正な治療によって減少していますが、アレルギー性鼻炎・結膜炎が増加しています。

二見いすず: そうなんですか。

鹿島直子Dr: 特に食物アレルギーについては、頻度だけではなく、重症度も上がってきています。
ある研究によると、西日本では食物アレルギーの児童は3.5%〜4%にのぼり、その中で命にかかわるアナフィラキシー発症の可能性のある児童は1%弱だといわれています。
大変な問題です。

二見いすず: 頻度、重症度ともに上がっているという食物アレルギーについて、いま学校ではどのような対応が行われているのでしょうか。

鹿島直子Dr: 学校におけるアレルギー疾患の対応には次の3つの柱があります。
1つめがアレルギー疾患の理解と正確な情報の把握・共有、2つめが日常の取り組みと予防、そして3つめが緊急時の対応です。

二見いすず: では、まずアレルギー疾患の理解と正確な情報の把握・共有についてお話いただけますか?

鹿島直子Dr: はい。食物アレルギーへの配慮や管理が必要な児童生徒の情報を関係者全員で共有することが大切です。
この場合の関係者には、家族や学校職員だけではなく、児童生徒、給食関係者、学校医も含まれます。

二見いすず: では、日常の取り組みと予防についてはいかがでしょうか。

鹿島直子Dr: 食物アレルギーの原因となる食材の完全除去が何と言っても第一です。
学校給食での対応がどうしても不可能であれば、弁当持参ということになります。

二見いすず: なるほど。
最後に緊急時の対応について教えてください。

鹿島直子Dr: 対象のお子さんがおられる場合はきちんとマニュアルを作成しまして、シミュレーションを行って備え、教職員は誰もがアドレナリン自己注射薬・エピペンの使用を含めた対応ができるように日頃から取り組んでおくことが大事です。

二見いすず: アナフィラキシー発症は起きうるという考え方を関係者全員が共有して、緊急時に適切な対処ができるよう備えておかなければいけませんね。

鹿島直子Dr: はい、そうですね。
食物アレルギーなどのアレルギー疾患を持つ子どもたちが、のびのびと有意義な学校生活を送れるよう、学校関係者はもちろん、地域全体で見守り、協力していきたいですよね。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の鹿島直子(かしまなおこ)ドクターでした。
ありがとうございました。

鹿島直子Dr: ありがとうございました。