2016.2.20 第668回放送分 『学校保健』 ゲスト:鹿島 直子ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「学校保健」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の鹿島直子(かしまなおこ)ドクターです。
鹿島さん、今週もよろしくお願いいたします。

鹿島直子Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今週は、近年問題視されている子どもの肥満とやせている子どもの問題についてお話いただけますか。

鹿島直子Dr: はい。
まず子どもの肥満の原因についてですが、ゲームの普及や塾通いなどにより体を使って遊ぶ機会が減ったことや偏った食生活、夜型の生活習慣にあると考えられています。

二見いすず: 子どもの頃の肥満は大人になってからも解消されにくいと聞いたことがあります。

鹿島直子Dr: そうですね。
肥満は糖尿病や高血圧といった生活習慣病の大きなリスクになることが問題です。

二見いすず: 肥満の子どもが増える一方、やせている子どもも増えているのでしょうか。

鹿島直子Dr: 最近はダイエットをする子どもの低年齢化が目立ちます。
特に美容を意識した女の子のやせ願望が強くなっています。

二見いすず: そうなんですか。
成長期や思春期のダイエットには注意が必要ですね。

鹿島直子Dr: 間違ったダイエットをすると、将来、妊娠・出産時に必要な体の機能に障害が生じたり、骨粗しょう症などの障害が早期に現れたりします。
もっと危険なのは、拒食や過食という摂食障害につながることがあります。

二見いすず: 深刻な問題ですよね。
子どもたちが栄養バランスのいい食事をきちんと摂っているか、急に太ったり、やせたりはしていないか、家庭や学校で大人たちが見守ることが大切ですね。

鹿島直子Dr: 大人と違って子どもの肥満ややせは単に体重だけでは判断できません。
標準体重よりも多少太っていたり、やせたりしても、身長が伸びるなどその子なりの順調な成長がみられれば問題はありません。

二見いすず: 子どもたち一人ひとりの成長の特性は、どのように見極めればいいのでしょうか。

鹿島直子Dr: 児童生徒の成長の評価には、成長曲線が活用できます。
成長曲線とは横軸に年齢、縦軸に身長・体重などのデータを入れましてグラフ化したものです。
平成28年度から学校健康診断でもこの成長曲線を児童生徒の健康管理に積極的に活用することになりました。

二見いすず: 身長と体重の成長曲線のパターンの変化は目で見て分かるので、子どもさんや保護者の方々も変化の様子を理解しやすいですね。

鹿島直子Dr: そうなんです。
成長曲線は肥満、やせといった栄養状態の変化が分かるだけでなく、成長異常や病気の早期発見・早期治療にもつながります。
お子さんの成長曲線について気になる変化が見られる場合は、かかりつけ医や小児科医にぜひご相談ください。

二見いすず: よく分かりました。
お話は鹿児島県医師会の鹿島直子(かしまなおこ)ドクターでした。
どうもありがとうございました。

鹿島直子Dr: ありがとうございました。