2016.2.27 第669回放送分 『学校保健』 ゲスト:鹿島 直子ドクター


二見いすず: ドクタートークは、「学校保健」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の鹿島直子(かしまなおこ)ドクターです。
鹿島さん、今週もよろしくお願いいたします。

鹿島直子Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 最終日の今日は学校保健の中でも、こころの問題についてお話いただけるということですね。

鹿島直子Dr: はい。
学校保健領域においてはさまざまな課題がありますが、その中でも児童生徒のこころの健康問題は極めて重要な課題であり、その対応が必要とされています。

二見いすず: いまの子どもたちは、どのようなこころの問題を抱えているのでしょうか。

鹿島直子Dr: 都市化・少子化などの急速な社会環境や生活環境の変化を背景に、「自分の存在や価値に自信が持てない」、「家庭で孤独な存在だ」といった悩みを抱える児童生徒が増えています。

二見いすず: そのような子どもたちに対して、わたしたち大人はどのように向き合えばいいのでしょうか。

鹿島直子Dr: そうですね。
一人ひとりに愛情と敬意を持って向き合うこと、いいところを積極的に見つけてほめることなどによって、健全な自尊心を高めることが大切だと思います。

二見いすず: 健全な自尊心とは、自分を大切に思う心、ということでしょうか。

鹿島直子Dr: そのとおりです。
健全な自尊心を持っている人は、自分を受け入れることが出来るので、さまざまな問題を建設的かつ効果的に解決しやすくなります。

二見いすず: そうなんですね。

鹿島直子Dr: 自分に自信が持てないと、自分の価値を認めることができないため、本来持っている能力を発揮できず、社会的要因の影響を受けやすいのです。
いじめや暴力、自傷行為、不登校なども低い自尊心の表れに他ならないと言えます。

二見いすず: 子どもたちの健全な自尊心を高めることが、いじめや暴力、不登校などの防止にもつながるということですね。

鹿島直子Dr: こころとからだの健康は密接につながっています。
たとえば、不登校は睡眠障害と大きな関係があると言われています。
また、喫煙、飲酒、薬物乱用、性行動などの現代的な健康に対する課題もこころの問題を解決することによっていい方向に向かうと考えられます。

二見いすず: 子どもたちが心身ともに健全に成長できる環境づくりが、いま私たちに求められているんですね。

鹿島直子Dr: そうですね。多様化、深刻化する子どもの健康課題に対応するためには、学校と家庭、学校と地域の医療機関等との連携が不可欠です。
鹿児島県医師会では学校保健のさらなる充実に向けて、これからも積極的に取り組んでまいります。

二見いすず: 学校保健について4週にわたり、貴重なお話をしていただきました。
鹿児島県医師会の鹿島直子(かしまなおこ)ドクターでした。
鹿島さん、ありがとうございました。

鹿島直子Dr: ありがとうございました。