2016.3.12 第671回放送分 『花粉症』 ゲスト:上野 員義ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「花粉症」についてお送りいたします。
今週は前回に引き続き耳鼻咽喉科領域の花粉症について、鹿児島県医師会の上野員義(うえのかずよし)ドクターにお話をお伺いいたします。
上野さん、今週もよろしくお願いいたします。

上野員義Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は花粉症の症状や対策についてお話を伺いました。
今週は治療法についてお話をお伺いしたいと思います。

上野員義Dr: はい。
前回お話しましたとおり、花粉症はアトピー体質が関係しますので、残念ながら、一度発症すると自然治癒は期待できません。

二見いすず: そうなんですね。
花粉症になると、鼻水や鼻づまりなどの症状で、仕事や勉強、家事などに集中できないという話をよく耳にいたしますが、つらい症状をやわらげるためには、どのような治療法があるのでしょうか。

上野員義Dr: はい。
花粉症シーズンのこの時期は、抗ヒスタミン剤の服用やステロイド点鼻薬などで症状をやわらげる治療法が一般的です。

二見いすず: お薬による治療ですね。

上野員義Dr: はい。
鹿児島では例年、2月の第1週がスギ花粉の飛散開始日ですので、1月下旬頃より眠気の少ない抗ヒスタミン剤の服用を開始すると、シーズン中の症状の緩和が期待できます。

二見いすず: 薬剤を使った対症療法に対して、花粉症を根本から改善する方法はあるのでしょうか。

上野員義Dr: はい。
スギ花粉症には、舌下免疫療法という根本治療があります。
これは、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、症状をやわらげるというアレルゲン免疫療法のひとつです。

二見いすず: あえてスギ花粉の抗体を体に入れて、アレルギーを起こしにくい体質に変えていくということなんですね。
この治療には、対象年齢などの制限があるのでしょうか。

上野員義Dr: スギ花粉症の舌下免疫療法は、スギ花粉症と診断された12歳以上の患者さんが対象となります。

二見いすず: わかりました。
具体的には、どのような治療を行うのでしょうか。

上野員義Dr: 舌下免疫療法は、口の中、舌の裏側に治療薬をスプレーするため、注射のような痛みもなく、自宅で服用できます。
1日1回少量から治療薬の服用をはじめ、2週間は徐々に増量し、その後は決まった量を3年から5年にわたり継続して服用します。

二見いすず: 治療を始める時期などの注意点はありますか?

上野員義Dr: 舌下免疫療法の開始時期は、スギ花粉が飛散していない時期に限られます。
そのため、6月から10月の治療開始をおすすめしています。

二見いすず: 花粉症シーズン中でなく、夏から秋にかけて治療を始めるのですね。

上野員義Dr: はい。
一定量のアレルゲンを長期間投与するため、治療は3年から5年と長く続けることも大切です。
症状の強さや体質に合わせた治療法を選択するためにもまずはお近くの耳鼻咽喉科専門医にご相談ください。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の上野員義(うえのかずよし)ドクターでした。
ありがとうございました

上野員義Dr: ありがとうございました。