2016.4.23 第677回放送分 『食物アレルギー』 ゲスト:今村直人ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「食物アレルギー」について鹿児島県医師会の今村直人(いまむらなおと)ドクターにお話を伺っています。
今村さん、今週もよろしくお願いいたします。

今村直人Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: これまで食物アレルギーの特徴や症状についてお伺いしてまいりましたが、家族や自分自身に食物アレルギーを疑われる症状がある場合は、どうしたらいいのでしょうか。

今村直人Dr: 食事の後に、繰り返し「おかしいな?」と感じたら、まずはかかりつけの内科や小児科を受診し、原因となる食べ物をきちんと診断してもらいましょう。

二見いすず: 病院ではどのような診療や検査が行われるのでしょうか。

今村直人Dr: 食物アレルギーが疑われたら、何を、どのくらい食べて、どのくらい経ってから、どのような症状が出たかがポイントになります。
この問診がとても重要で、細かい問診だけでもだいたいの予測がつきます。

二見いすず: 何を、どのくらい食べて、どれくらい経った後に、どのような症状が出たかがポイントですね。

今村直人Dr: はい。
原因を特定するために、問診の情報をもとに、一般的には血液検査などを行います。
ただし、この血液検査の数値だけでは食物アレルギーの診断はできません。

二見いすず: それはどういうことでしょうか?

今村直人Dr: 血液検査では、血液の中にアレルギー反応を引き起こすIgE抗体が、どの食物に対して、どれくらいあるかを調べます。
IgE抗体が存在しても、何も症状が出ずに食べられる人もいれば、少し食べただけでもアナフィラキシー症状があらわれる人もいます。

二見いすず: つまり、抗体があっても、症状があらわれなければ、食物アレルギーではない、ということでしょうか。

今村直人Dr: そうですね。
体調によっても症状が出たり、出なかったりする場合がありますので、医師と相談の上、食物負荷試験などを組み合わせながら、総合的に診断することになります。

二見いすず: よく分かりました。
総合的な診断によって、食物アレルギーが確定した場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。

今村直人Dr: アレルゲンがはっきりしたら、医師の指導のもと、原因となる食物を食べない食物除去を行います。
ただし、栄養面の問題もありますので、成長に影響が出ないよう、除去は最小限にとどめることが大切です。
また、負荷試験等で食べられるようになっているかの評価を行っていくことも大切です。

二見いすず: 命にかかわるアナフィラキシーにはどのような備えが必要でしょうか。

今村直人Dr: 過去に強いアナフィラキシーの既往がある場合や、アナフィラキシーを起こす可能性が高い場合は、アドレナリン自己注射薬であるエピペンを持っておくことが重要です。
エピペンは、医師が必要だと診断した体重15キロ以上のお子さんに処方が可能です。
また、現在では保険も適用されます。

二見いすず: そうですか。
分かりました。
今月は食物アレルギーについてお話を伺っています。
鹿児島県医師会の今村直人(いまむらなおと)ドクターでした。
今村さん、ありがとうございました。

今村直人Dr: ありがとうございました。