2016.6.18 第685回放送分 『ヘッドホン難聴』 ゲスト:松永 信也ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは後半2週にわたり、「ヘッドホン難聴」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の松永信也(まつながしんや)ドクターです。
松永さん、よろしくお願いいたします。

松永信也Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 近年は携帯型の音楽プレーヤーの普及により、いつでも、どこでも、音楽を楽しめるようになりましたが、ヘッドホン難聴とはどのような病気なのでしょうか。

松永信也Dr: ヘッドホン難聴は、音響外傷のひとつで、大きな音を長時間聴き続けることにより発症する難聴で、イヤホン難聴とも呼ばれています。
ヘッドホン難聴の原因としては、大きな音を聴く、長時間聴く、高い周波数の音を聴くという3つの問題点が挙げられます。

二見いすず: 3つの問題点について、それぞれ詳しく教えてください。
まず大きな音を聴くことについてですが、いかがですか。

松永信也Dr: ヘッドホンは屋外の騒音の中で使用することが多いため、知らず知らずのうちに音量を上げてしまいます。
ある調査によると、若者がヘッドホンで音楽を聴く音量は、電車内だと90デシベル程度で、これはうるさい工場や人の大声の音量と同等です。

二見いすず: 屋外でヘッドホンを使用すると、周囲の音に負けないように、音量を上げてしまうことが問題だということですね。
次に、長時間聴くことにはどのような問題があるのでしょうか。

松永信也Dr: 長い時間音楽を聴き続けていると、耳は疲れてしまい、ダメージを受けます。
適切な音量で聴いていても、疲労・ストレス・睡眠不足など体調によっては難聴になることもあります。

二見いすず: 長い時間音楽を聴き続けていると、耳は疲れてしまうということです。
では最後に、高い周波数を聴くことによる問題点はいかがでしょうか。

松永信也Dr: 通常、高い周波数の音は、低い音に比べて空気を伝わる過程で弱まりやすいとされています。
しかし、ヘッドホンを使用すると、音源から耳までの距離が短いため、高い周波数の音が弱まらずに耳に伝わり、耳のダメージにつながりやすくなります。

二見いすず: なるほど。
大きな音を長時間聴くこと、高い周波数の音を聴くことが耳にダメージを与えるということですが、ヘッドホン難聴は、実際に増えているのでしょうか。

松永信也Dr: WHO・世界保健機構は、2015年3月、若者の難聴リスクに警鐘を鳴らす発表をしました。
それによると、世界で11億人の若者がヘッドホンやイヤホンで音楽を聴くことにより難聴の危険にさらされているということでした。

二見いすず: ぜひ、ヘッドホンの使い方や音楽の聴き方を見直してみてください。
お話は鹿児島県医師会の松永信也(まつながしんや)ドクターでした。
ありがとうございました。

松永信也Dr: ありがとうございました。