2016.6.25 第686回放送分 『ヘッドホン難聴』 ゲスト:松永 信也ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは後半2週にわたり、「ヘッドホン難聴」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の松永信也(まつながしんや)ドクターです。
松永さん、どうぞよろしくお願いいたします。

松永信也Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、ヘッドホン難聴とは、大きな音を長時間聴き続けることにより発症する難聴だと伺いました。
ヘッドホン難聴になると、どのような症状があらわれるのでしょうか。

松永信也Dr: ヘッドホン難聴になると、音が聞き取りにくい、耳が詰まったように感じる耳閉感、耳鳴りなどの症状があらわれます。

二見いすず: その症状は急にあらわれるのでしょうか。

松永信也Dr: 徐々に少しずつ聴力が低下する場合が多いのですが、急にひどい難聴が生じる場合もあります。
ヘッドホン難聴の初期症状としては、4000ヘルツの高音領域で聴力が低下するケースが多く、日常の会話音の周波数より高いため、気付くのが遅れてしまいがちです。

二見いすず: 自覚症状がないまま徐々に聴力が低下するというのはこわいですね。

松永信也Dr: ヘッドホン難聴は、急に発症した場合は治療開始が早いほど治る確率が高く、逆に治療が遅れると回復は難しくなります。
一晩、耳を休めても症状が続く場合は、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。

二見いすず: よくわかりました。
では、ヘッドホン難聴になると、どのような治療を受けるのでしょうか。

松永信也Dr: 急性期の場合、治療にはステロイド剤、血流改善剤、ビタミン剤などの薬が使われます。
難聴になって時間がたっている場合は、症状がさらに進まないように予防に努める事になります。

二見いすず: 聴覚は完全に失ってしまうと、二度と戻ってこないそうですが、ヘッドホン難聴はどのように予防すればいいのでしょうか。

松永信也Dr: まず、音楽を聴く時は適切な音量で聴きましょう。
ヘッドホンやイヤホンを着けたままで周りの人と会話ができる音量が一つの目安です。

二見いすず: わかりました。

松永信也Dr: また最近は、遮音性を高めたイヤホンや周囲の騒音を電気的に打ち消す機能を持っているヘッドホンがあります。
これらを使って周囲の騒音を遮断すれば、イヤホンからの音量を小さくしても音楽を楽しむ事ができます。

二見いすず: 他にも気をつけておきたいことはありますか?

松永信也Dr: 耳を休ませることも大切です。
長時間音楽を聴いた後は、その3倍の時間をかけて耳を休ませることが推奨されています。
特に疲労やストレスを感じる時には、音量や音楽を聴く時間を控えるように気をつけてください。

二見いすず: ヘッドホン難聴を予防するためには、大きな音を長時間聴かないこと、耳を十分休めること、症状を感じたら、翌日までに耳鼻咽喉科を受診することを心掛けましょう。
2週にわたり、ヘッドホン難聴について貴重なお話を伺いました。
鹿児島県医師会の松永信也(まつながしんや)ドクターでした。
ありがとうございました。

松永信也Dr: ありがとうございました。